しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

積読状態の本を思い出す

日経新聞では、建築家・谷口吉生さんの執筆による

私の履歴書」の連載が続いています。

その第25回目には、谷口さんが設計し、

金沢市に2011年に完成した 「鈴木大拙館」のことが書かれていました。

谷口さんは鈴木大拙のことを、次のように紹介されていました。

 

鈴木大拙は禅の思想を世界に広めた国際的な仏教学者。

 中でも1960年代以降、物質文明に疑問を抱く米国の若者に熱狂的に支持された。

 アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏も影響を受けた一人とされる。

 60年代に仕事で日米を往復していた私も、

 ヒッピーと呼ばれる若い人たちがさかんに香をたいたり、

 座禅を組んだりしているのを目にしていた。

 しかし、米国の豊かさにあこがれる多くの日本人に、

 彼らの切実さはまだ理解できなかった。

 大拙が説いたのは「無」であり「無心」。

 つまり、欲にとらわれることのない自由な心の境地だ。

 禅と日本文化の根源を説くこの思想家の記念館の設計を任されたが、

 展示できる「作品」はごく限られている。

 そこで具体的な形としてイメージできるものを探そうと、

 私は著作を手当たり次第に読み始めた。』

 

そして、谷口さんは、鈴木大拙の著作の中にある文章とその解釈について、

次のように述べられていました。

『「移りゆく時間、そのほかに永遠はない。永遠は絶対の今である」

 「無」とは何もないゼロの世界、変化と無縁の止まった時間だと考えがちだ。

 しかし、季節はつねに移り変わる。終わることのない自然界のサイクル、

 その時間の流れに身をゆだねて生きることを、

 大拙は「無」と表現したのではないか。』

 

この記事を読んで、

鈴木大拙著の『日本的霊性 完全版』(角川ソフィア文庫庫)が、

もう何年も積読状態であることを思い出しました。

今は、同じく積読状態であった夏目漱石の『行人』(集英社文庫)に

ようやく手を伸ばしたところなので、

これを読み終えたら、「無心の境地」に挑戦することにします。

でも、内容が難しそうなので、めまいの発作が起こりそうです……。(苦笑)

 

日本的霊性 完全版 (角川ソフィア文庫)

日本的霊性 完全版 (角川ソフィア文庫)