清水真人編集委員の執筆による 『財政危機と消費増税を語り始めた小泉元首相』
というタイトルの記事が興味深かったです。
記事では、小泉元首相の最近の発言が次のように紹介されていました。
まずは、今月6日、大阪市内のホテルで講演された際の消費税についての発言です。
『消費税に食料品などの軽減税率を設けるのは低所得者のためだというが、
違うと思う。消費する金額は高所得者の方が圧倒的に多いから、
軽減税率の恩恵も大きい。 一番お金を使うのはお金のある人たちだ。
その層に軽減税率が適用されるのはおかしい。税収も減ってしまう』
『消費税はすべて年金、医療、介護など社会保障に充てる目的税にする。
それで一番、恩恵を受けるのは低所得者だから、理由は十分に成り立つ。
しかも、税制は簡素であるべきだ』
『消費税率を10%にしても15%にしても、
社会保障の予算を賄うにはまだ足りない。
いずれ15%、20%になるとほとんどの専門家が言っている。』
次に、自民党が東京都議会選挙で惨敗した直後の7月上旬、
東京・霞が関の財務省にお一人で現れた際に語られたという発言です。
『日銀が保有する400兆円の国債は政府との間で相殺すればよいので、
返済の心配は必要ない、財政状況は言うほど悪くないという説は本当か?
国債をさらに増発して財政を拡大し、
景気対策をやる方が税収が増えて財政を再建できる、なんて、
そんな楽な話がありうるのか?』
う~む、なるほど……。
小泉元首相は、今年1月に
後期高齢者とも呼ばれる75歳を迎えられたとのことですが、
記事から想像するに、至極お元気な様子で、誠に御同意に堪えません。
また、発言されている内容は、一国民である私から見ても、
まことにごもっともと思えるもので、
こうした発言を契機として、活発な議論が各界各層でなされることを
ご本人は期待されているのではないでしょうか?
なお、記事の最後に書かれていた
『首相の通算在任期間では小泉を超えた安倍だが、
変人宰相の歯に衣(きぬ)着せぬ言動はなお軽視できない。』という記述が、
不思議なほど心の片隅に残り続けています……。
追記
清水真人編集委員といえば、
『官邸主導~小泉純一郎の革命』(日本経済新聞社)などの良書がありますが、
『消費税~政と官との「十年戦争」』(新潮社)もお薦めの一冊です。