しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

凡人の直感と俳句の魅力

先月、松山市で開催された「第20回俳句甲子園」の個人最優秀賞は、

岩田さん(開成高校)の『旅いつも 雲に抜かれて 大花野』という一句でした。

 

私は俳句を趣味にしているわけではなく、

また、季語などの基本的な知識さえ持ち合わせていないので、

自分の直感に頼った評価しかできないのですが、

この一句を超えるような壮大な句は、

しばらくは出てこないのではないかと思わせる、そんな魅力的な一句でした。

 

すると、昨日13日の愛媛新聞に、愛媛県出身の俳人である夏井いつきさんが、

「秀句と巡り合うシアワセ喜ぶ

 ~勝ったといって泣き、負けたといって泣く高校生の姿に涙する」

というタイトルのエッセイを寄稿されていて、

この一句と俳句甲子園の魅力について、次のように述べられていました。

 

『〈旅いつも雲に抜かれて大花野〉(開成高校 岩田奎)

 今年最優秀賞を受賞した一句だ。芭蕉西行も旅をした。

 「いつも」は普遍的な時空を表現する一語。

 悠々と続く「旅」は豊かな「雲」を見上げる旅、

 美しい「大花野」に心を遊ばせる旅だ。

 閉会式の舞台、岩田くんへの最後のインタビューは

 「あなたにとって俳句とは?」だった。

 これまた実にベタな凡人的発想の質問だが、彼は一瞬とまどった後に

 「旅、ですかね」と一言、爽やかに答えた。

 「俳句甲子園の魅力」を一言で語る言葉を、私はまだ見つけられていない。

 が、大会が終わってからも「旅いつも」の句が心にふっと浮かぶ

 口をついて出る。いい句に巡り合えたシアワセを喜ぶ。体中の血が奇麗になる。

 それだけでいいのだよ、きっと、と思う。満ち足りる。

 そんな喜びが俳句甲子園なのだ。』

 

う~む、なるほど……。

「体中の血が奇麗になる」というのは、ものすごく上手な表現ですね…。

私のような凡人の直感も、案外、的外れでないことが分かって、少し安心しました。

来年のこの大会でも、秀句が登場することを、今から楽しみにしています。