戦後復興から高度経済成長、バブル崩壊、そして「失われた20年」を経て今に至る日本経済にとって、
「長期にわたり低迷する生産性の向上が大きな課題」とのことですが、
今日27日の日経新聞には、マクロ経済学を専門とする吉川洋・立正大教授への
次のようなインタビュー記事が掲載されていました。
Q 日本経済と生産性の関係をどのように捉えていますか。
A 日本の労働力人口は減っていくだろうが、
1人当たりの所得すなわち生産性が伸びればマイナス成長にはならない。
高度成長期に国内総生産(GDP)の10%成長を遂げたときも、
労働力の伸びが寄与したのは1%程度にすぎず、ほとんどが生産性の上昇分だった。
Q 高度成長のような伸びは期待できないように感じますが。
A もちろんGDPそのものが当時ほど伸びるわけではない。
ただし1人あたりの所得を伸ばすことは可能だ。
仮にGDPが年1.5%成長を続けた上で人口が年0.5%ずつ減れば、
1人あたり所得は2%ずつ伸びることになる。それが35年続けば、1人あたりの所得は倍になる。
Q 夢のような話に聞こえますが。
A 決して夢物語ではない。
超高齢社会は生産性向上を生み出すイノベーション(技術革新)にとって宝の山だ。
高齢者は身の回りの不便を解消するという大きなニーズを持っている。
超高齢社会は20世紀のモータリゼーションに匹敵する社会変化をもたらすだろう。
う~む、なるほど‥‥。いつもながら、吉川先生らしい歯切れの良い御答弁だと思います。
高度経済成長の恩恵をまともに受けて育った私には、その成長神話が骨の髄まで染み渡っています。
とにかく、「経済は人と同じように成長するもの」と信じ込んでいるのです。
私自身は、定年退職後には心身ともに衰えを自覚していて、
体力面、精神面、そして金銭面と、将来不安は尽きないのですが、
『超高齢社会は20世紀のモータリゼーションに匹敵する社会変化をもたらすだろう。』
という吉川先生のお言葉を聞くと、それは決して夢物語ではなく、
将来に明るい展望を持つことができるような、そんなポジティブな気持ちになります。
高齢者に利便性をもたらす、あっと驚くようなイノベーションが起きることを、
向老世代の一人として期待したいと思います‥‥。