しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

負けた時の本当の友達

今月10日、「YOMIURI ONLINE」の「名言巡礼」は、

デットマール・クラマーの『負けた時に訪ねてくるのが本当の友達だ』という名言でした。

この「名言巡礼」は、小説や映画、詩や歌に残された作家などの名言について、

その舞台となった土地をたずね、言葉が生まれた物語や背景、

今を生きる人々の記憶を紹介するもので、私が毎週、楽しみに読んでいるコラムです。


さて、先ほどのドイツ生まれのデットマール・クラマーは、

1960年、日本サッカー協会の要請でドイツサッカー連盟から派遣され、

日本代表を指導、東京五輪でベスト8に導き、

68年メキシコ五輪銅メダルの礎を築いて「日本サッカーの父」と呼ばれた人物です。

記事では名言にまつわる、次のような逸話が紹介されていました。


東京オリンピック、といっても1964年大会のこと。

 サッカー日本代表は、東京・駒沢陸上競技場で強豪アルゼンチンと対戦した。

 結果は3ー2の逆転勝利。

 歴史的快挙にわく更衣室で、ドイツ人のコーチ、デットマール・クラマー

 選手たちにこう話した。「今日は多くの新しい友達と喜びを分かち合いたまえ。

 しかし今、友達が必要なのはアルゼンチンの選手だ。僕は彼らのところに行く」

 殊勲の同点ゴールを挙げた川淵三郎さん(81)(現日本サッカー協会最高顧問)は

 「その時は意味がよくわからなかった」と語る。

 4日後。日本代表は準々決勝でチェコスロバキア(当時)と戦い、0ー4で完敗した。

 静まり返った更衣室で、うつむく選手たちにクラマーは語りかけた。

 「君たちはよく努力した。今日、訪ねてくる人は少ないかもしれないが、

 負けた時に訪ねてくるのが本当の友達だ」

 後に、川淵さんはJリーグ初代チェアマン、日本サッカー協会会長を歴任した。

 「93年のJリーグ開幕の頃はブームで大勢がやってきた。

 2006年のワールドカップでは1勝もできず(会長として)批判にさらされた。

 いい時も悪い時も、クラマーさんの言葉が支えになりました」』


こういう名言を読むと、いつものことながら、

京都で大学受験の浪人生活を送っていた時に、

温かい励ましの葉書を送ってくれたT.Kさんのことを思い出します。

この日記にも幾度か書いたことがあります。

高校の同級生だった彼女の言葉に、失意のどん底にあった私はどれほど助けられたことか‥‥。

スポーツの試合で負けた時に限らず、「人生の敗北」のシーンで心の支えになってくれる人。

こういう人を友達に持つ人は、それだけで神・仏に祝福された人だと思います。