しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

未来永劫続くテーマ

昨日18日の日経新聞に掲載された、ライフネット生命保険の創業者、出口治明さん執筆による

ダイバーシティ進化論~相次いだ企業不祥事 同質組織から脱却を』という記事がとても勉強になりました。


日本の経済成長を支えてきたものづくりの現場で、今年相次いだデータ改ざん問題は、

同質性が高く、閉鎖的な組織文化が色濃い日本企業のもろさを浮き彫りにしたとして、

出口さんは、一連の不祥事の根底にあるのは、

異論を唱える存在を排除しようとする組織の在り方だと指摘されていました。

その組織というのは、同質組織のもたれあいが行きすぎると、

自浄作用が働かなくなるような、次のような組織だと述べられていました・

 ・コンプライアンス(法令順守)よりも、組織の論理を重視する。

 ・不条理な命令であっても、上司には逆らわない。

  空気を読み、上の意向を忖度(そんたく)できる人が優秀と評価され、出世する。


そのうえで、こうした風土を根底から変えるには、ダイバーシティ(多様性)が決定的に重要で、

多様な価値観や経験を持つ社員が多様な意見を出し合い、

組織にとってよりよい判断をするというプロセスなしには、

グローバル競争に挑むことなどは不可能だと述べられていました。

そして、私が一番印象に残ったのが、次のような記述です。

少し長くなりますが、大切なことが書かれていると思うので、省略せずに引用させていただきます。


『しかし、同質性を重んじてきた日本の大企業には、

 無意味な慣習を打ち破ろうと自ら立ち上がる社員が極めて少ない。

 マイナス点がつかないよう縮こまり、既存のルールに黙って従う人が多数派だ。

 「仕事が人生のすべて」と信じ込み我慢を重ね、心を病んでしまうケースも珍しくない。

 職場ストレスを抱えている人に、届けたいファクト(事実)がある。

 1年は8760時間。うち日本人が働いている時間は2000時間ほどで、2割強にすぎない。

 この数字は「人生において、仕事なんてたいしたことではない」という事実を示している。

 「たいしたことはない」というと、仕事をおろそかにしていいと誤解されそうだが、そうではない。

 仕事がすべてではないと認識してこそ人は、職場において信念に基づく言動を貫く勇気を持てる。

 過剰に上司の顔色をうかがう必要も、組織の慣習を部下に押しつける必要もなくなる。

 結果、自分なりのやり方で効率的に成果を上げることに集中できるようになる。

 メンバーがあうんの呼吸で動く同質性の高い組織が効率的だった時代は過ぎ去った。

 テクノロジーが急速に進化する中、個人も組織も変化適応力がなければ生き残れない。

 同質組織から脱して、ダイバーシティを進めること。

 日本企業の成長と働く人の幸せの双方を実現する鍵はそこにある。』


はぃ、確かに、出口さんのおっしゃるのは正論だと思います。

しかし、「仕事がすべてでないと認識すること」は、

その仕事で得る報酬で生計を立てている身としては、現実問題としては、なかなかできそうにありません。

また、ダイバーシティに関しては、定年退職後に就職した民間企業と転職後の今の職場は、

それこそ「多様な価値観や経験を持つ社員」で構成されている(いた)のですが、

それはそれで私にとっては、とっても「気を遣う職場」である(あった)ことに変わりがありません。


つくづく企業や官公庁にとっての「組織と人」という問題は、未来永劫続くテーマだと思います。