日経新聞電子版「出世ナビ」の「リーダーはスポーツに学ぶ」に、
柳弘之・ヤマハ発動機会長へのインタビュー記事が掲載されていました。
記事のタイトルは、『ラグビー清宮氏に学んだ人材育成』というものでしたが、
この「清宮氏」とは、2015年のラグビー日本選手権で「ヤマハ発動機ジュビロ」を
初優勝に導いた清宮克幸監督のことです。
記事のなかから、柳さんが語られた示唆に富む言葉を、次のとおり抜き出してみました。
・清宮さんのチームづくりには、4つの特徴があります。まず「高い目標」を与える。
次に、目指す方向感をわかりやすく伝える。3つ目は練習方法を工夫する。
そして、人を育てる。この4段階なんです。これが非常にうまい。
・企業スポーツは企業経営に似ています。サッカーやラグビーの場合は、
プレーヤーと戦略とマネジメント、この3つの要素があるんです。
このバランスがうまくいかないと絶対に勝てないな、というのが最近の実感です。
・ラグビーでも企業経営でも、最も大事なのは人を育てることです。
私は人材には「普通の人」「一流の人」「超一流の人」の3段階あると思うんです。
多くの場合、普通の人がステップを踏んで、一流から、超一流へと育っていきます。
・普通の人に機会を与えて育てる、この流れは企業の経営も同じだと思います。
「心技体」という言葉がありますが、一流になる人は、これに「考える力」が加わるんです。
清宮さんに話を聞いても、言われたことをそのままやる選手より、
自分で考えて工夫できる選手が伸びるらしいんです。
・超一流のレベルになると、これに「空間認識能力」が加わります。
彼はピッチであちこちを見ながら鋭いパスを出せる。
彼に聞くと、その瞬間瞬間でピッチの全体を理解しているというんです。
・空間認識能力は、ビジネスでも大事です。
当社は世界中で仕事しているので、どのエリアや事業でどんなビジネスがうまくいっているのか、
課題がどこなのかをグローバルな視野で認識する力が必要になります。
そのために毎日データを見たり、現地に出かけて状況を把握したりする。
・空間認識能力のあるプレーヤーが複数いれば、そのチームは強くなります。
1人だと難しいんです。彼らが信頼され、ほかのメンバーとベクトルが一致すれば、
勝てるんです。超一流の人材がメンバーに信頼され、チームを引っ張って勝つ。
これは企業でも同じではないでしょうか。
う~む、なるほど‥‥。スポーツと経営には共通点があるのですね。
そういえば、昨年末に放映されたNHKテレビ「おはよう日本」を見て、
東福岡高校ラグビー部の藤田監督が、カルロス・ゴーン日産自動車会長の本を読んで、
ビジネスの組織論をチームづくりに生かされていることを知りました。
人間界における「組織」と「人」の問題というのは、スポーツや経営に限ったことではなく、
その底流には何かしら共通の「哲学」があるのだと思います。
そしてそのことを、各界のリーダーの方々は、誰よりも広く深く学ばれているのだと思います。