しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

この国に欠けているもの

厳しい寒さがようやく和らいだと思ったら、今日は終日、あいにくの雨となりました。

晴れだったら布団を干したり、シーツを洗濯するつもりだったのに‥‥。

世の中、思いどおりにはいかないものです‥。


さて、町立図書館で借りてきた『あの戦争は何だったのか~大人のための歴史教科書』

(保阪正康著:新潮新書)を読了しました。

本書の目的と執筆の理由を、著者は次のように述べられていました。

『歴史を歴史に返せば、まず単純に「人はどう生きたか」を

 確認しようじゃないかということに至る。

 そしてそれらを普遍化し、より緻密に見て問題の本質を見出すこと。

 その上で「あの戦争は何を意味して、どうして負けたのか、

 どういう構造のなかでどういうことが起こったのか」ーー。

 本書の目的は、それらを明確にすることである。』


『太平洋戦争を正邪で見るのではなく、この戦争のプロセスにひそんでいるこの国の体質を問い、

 私たちの社会観、人生観の不透明な部分に切り込んでみようというのが

 本書を著した理由である。

 あの戦争のなかに、私たちの国に欠けているものの何かがそのまま凝縮されている。

 そのことを見つめてみたいと私は思っているのだ。

 その何かは戦争というプロジェクトだけではなく、戦後社会にあっても見られるだけでなく、

 今なお現実の姿として指摘できるのではないか。

 戦略、つまり思想や理念といった土台はあまり考えずに、戦術のみにひたすら走っていく。

 対処療法にこだわり、ほころびにつぎをあてるだけの対応策に入りこんでいく。

 現実を冷静にみないで、願望や期待をすぐに事実におきかえてしまう。

 太平洋戦争は今なお私たちにとって“良き反面教師”なのである。』


とても分かりやすく、読みやすい文章で、スラスラと読むことができました。

スラスラ読めたとはいえ、その中身は濃く、改めて「あの戦争」について教わることができました。

そのなかでも意外だったのは、

『太平洋開戦について、最初に責任を問われるべきなのは、本当は海軍だったのである。』

という記述でした。

そして、太平洋戦争での日本の致命的な欠陥は「戦術」はあっても「戦略」がなかったこと。

著者が指摘されているように、これは今のこの国や、そして私たちの身近な組織にも、

そのままそっくり当てはまるような、そんな気がします。

だからこそ、いつも歴史に謙虚に学ぶ姿勢を持つことが大切なのだと思います。

あの戦争は何だったのか―大人のための歴史教科書 (新潮新書)

あの戦争は何だったのか―大人のための歴史教科書 (新潮新書)