今日23日の朝日新聞一面コラム「折々のことば」は、
英国の作家・批評家、ヘンリー・ヒッチングズの
『光の射(さ)さない穴蔵であると同時に闇を照らす灯台でもあるという、ほかに類のない場所』
という言葉で、いつものように、鷲田清一さんの次のような解説がありました。
『「本屋」とはそのような場所だと、英国の作家・批評家は言う。
人生の相談所・避難所であり、若者が背伸びする場所であり、
はぐれ者を惹(ひ)きつける場所であり、新しい情熱を見つける場所であり、
「薬局」の役目もすれば「イデオロギーの火薬庫」にもなる。
世界各国の作家たちの書店をめぐる随想をみずから編んだ
「この星の忘れられない本屋の話」(浅尾敦則訳)の序文から。』
う~む、なるほど‥‥。
「本屋」というか、「書店」というものを、
これほどまでに見事に定義した「言葉」と「解説」を、未だかつて見たことがありません。
私にとって「本屋」は、「人生の相談所・避難所」であり、「薬局」でもあります。
一週間に一度は立ち寄って、書棚に並んだ本をぼんやりと眺めないと、なんだか落ち着きません。
そして、その「本屋」に関して、全くの偶然とは思いますが、
今日の日経新聞「春秋」は、「本屋」についての次のようなコラムでした。
『今週の火曜日、都内で1軒の本屋が歴史を閉じた。
場所は都心にも近い住宅街である代々木上原駅前。
店の名前は「幸福書房」という。家族経営ながら朝8時から夜11時まで営業し、
本好きや地元の常連には「欲しい本が、なぜか必ず見つかる店」として知られてきた。
~(中略)~ 買う顔ぶれはわかっている。しかし、いい本が入りましたよ、などと声はかけない。
何にも煩わされず「自由に気持ちを広げられるのが本屋という場所」だと信じるからだ。
書棚で客と会話をするつもりで経営してきたという。
そうした工夫と努力を重ねた書店ですら、活字離れという向かい風には勝てず、閉店を決めた。
~ (以下、略) ~ 』
「自由に気持ちを広げられる場所」ですか‥‥。こちらも、とても上手な表現だと思います。
活字離れというアゲインストの風に負けることなく、
「本屋」「書店」は、いつまでも私にとって、
「心が休まる場所」「希望を与えてくれる場所」であってほしいと願っています‥‥。