今日4日の朝日新聞デジタル版「耕論」は、『認知症の予防どうする』というタイトルで、
『認知症を予防するために「もっと運動を」「禁煙を」といったさまざまな知見がある。
認知症はどう防いだらよいのか。そもそも予防にこだわること自体、
人を追い詰めてはいないのか。』という問い掛けに対して、
いつものように3人の有識者の方が意見を述べられていましたが、
そのなかでも、映画監督の関口祐加さんの次のような意見が、私には参考になりました。
『「認知症はとにかく大変」「人格が壊れる」と、
いまの社会はこの病気に対するネガティブなイメージがあふれています。
その中で不安を募らせ、高齢者や親たちに
「もっと予防に取り組んで」と追い込んではいませんか。
親に運動を無理にすすめたせいで関節が傷み、かえって歩けなくなったという話も聞きます。
人は十人十色。みんな違っていて個性があるのに、画一的な教育によって抑えつけられている。
認知症はその抑圧を解き放ち、本来の個性を取り戻してくれる。
この病気は、日本にとってむしろ福音だと思うんです。
このまま認知症の人が増え続けるのが問題だと言われますが、
本人は幸せを感じていることもある。
認知症が問題だとしたら、本人ではなく周囲にとって、です。
予防もいいけど、むしろケアのプロを育てるほうがもっと大事です。
病気の状態だけでなく本人の性格、それぞれが歩んできた歴史を踏まえた、
その人にあったケアをできる人材です。
そうしたプロによるケアは本人の安心につながり、周辺症状もやわらぎやすい。
いまのように、ケアの多くを家族が負担し続けるのはもう限界にきています。』
今年卒寿を迎えた私の父は、めっきり足腰が弱り、
また、最近は、同じことを何度も繰り返し発言するようになりましたが、
おかげさまで認知症の症状もなく、毎日自転車でおやつを買いにスーパーに行ったり、
碁会所に通ったりするほか、自宅に居る時には、
主にテレビの「囲碁・将棋チャンネル」を見て一日を過ごしています。
同居している私と妻は、本人のためにと、デイサービスに通うことを勧めたりしても、
戦中派の父は一向に聞く耳を持ちません。
もし、父が認知症になっても、関口さんの言われるような「ケアのプロ」が身近におられたら、
家族はとても助かると思います。
でも、なんだか、父よりも私の方が、認知症になる可能性が高いような気がします。