不思議なことに、立秋に入ってから、朝夕に吹く「風の質」が変化したように感じられます。
さて、日経新聞「経済教室」では、その70周年を記念して、
「資本主義の未来」を、有識者の方がシリーズで論じられていますが、
「不平等・格差是正が大前提」というタイトルの論考を寄稿されていました。
論考の3つのポイントは次のとおりです。
・戦後の所得平等化で消費が成長をけん引
・技術の変化だけで格差拡大を説明できず
・格差拡大回避の面でも社会保障の役割大
そして、論考の最後に、吉川先生は次のように述べられていました。
『資本主義が20世紀を経て今日まで機能してきたのは、
政府が所得分配について修正を加えてきたからだ。
かつて米国ですら「平等」が新思潮となった時代があった。
「経営と所有の分離」を唱えたアドルフ・バーリは、
1950年代に次のような名言を残している。
「資本も資本主義もそこにある。消え去りつつあるのは資本家である」
一方、米経済学者ポール・サミュエルソンは、分権的な市場を基礎としながらも
政府による様々な所得再分配政策で補完された資本主義を「混合経済」と呼んだ。
21世紀の資本主義は高齢化に伴う格差の拡大という
経験したことのない新たな問題に直面している。
わが国でも高齢化に伴い格差は拡大してきた。
それを「再分配所得によるジニ係数」が示すように抑制しているのが年金・医療など社会保障だ。
だからこそ社会保障制度の持続性を高めるための改革が不可欠である。』
う~む、なるほど‥‥。
記事に掲載された「経済成長とジニ係数」という図をみると、
確かに、所得の再分配後は、ジニ係数が不平等から平等へと変化していました。
年金・医療などの社会保障制度が、不平等の是正や格差拡大の抑制に
重要な役割を果たしていることが、自分なりに理解できました。
ただ、その重要な社会保障制度の持続性に、私を含め、多くの国民が不安を抱いているのが
今の社会の現状だと思います。