しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

世界と人間の不条理を考える

台風25号の接近に伴う影響なのでしょうか、今日は真夏のような暑さとなりました。

そして、台風から遠く離れている当地でも、お昼前からは、とても強い風が吹き荒れました。

本当に今年は、自然の猛威に右往左往します‥‥。


さて、本棚の隅に眠っていた『異邦人』(カミュ、窪田啓作訳:新潮文庫)を読了しました。

私はこの本を買った記憶がないので、おそらく娘が学生の頃に買ったのだと思います。

いや、それにしても、読んだ形跡がほとんどありませんでした‥‥。


カミュといえば、NHKEテレの『100分de名著』で『ペスト』が取り上げられ、

そのテキストも読みましたが、番組講師の中条省平学習院大学教授が、

カミュの「不条理の哲学」について、次のような分かりやすい解説を書かれていました。

少々長くなりますが、引用させていただきます。


『私なりに整理してみると、世界というものはまぎれもなく不条理なもので、

 戦争もあり、天災もあり、ペストのような疫病もあり、

 決定的な厄災として人間に襲いかかってきます。

 それは不条理、つまり、理不尽で、ばかげている。

 そして、そんな世界の不条理性に気づいた人間が、

 人間も不条理であってもかまわないのではないか、

 とその不条理をみずから実践してしまうことがある。

 「異邦人」のムルソーの場合のように、母親が死んだって悲しまなくていいじゃないか、

 太陽のせいで人を殺してもいいじゃないか、

 と人間の生き方に不条理性を拡大していってしまうのです。

 これがおそらく、人間が不条理に対応するときの第一段階です。

 自殺やリヒリズム陥る一歩手前で、どうにか踏みとどまっているという状況です。

 そんな不条理の第一段階のあとに、そういう自己をいったん客観視して、

 世界の不条理に気づいた人間の不条理性にさらに気づいてしまった人間が、

 ではその不条理をどう乗りこえることができるのか、と考える方向が生まれてきます。

 これが「ペスト」以降の第二段階です。

 そこでは世界の不条理と人間の不条理を分けて考え、

 そのように不条理を二重に意識した人間の

 生き方や行動を探求するという姿勢が打ちだされてきます。』


う~む‥‥。(沈黙) よく分からないけど、私なんか、職場でも家庭でも、

日々、不条理の世界に生きているような気がします。(苦笑)

でも、中条教授によると、カミュは、

『世界の不条理に抗しながら生きていく道を探ってこそ人間である。』と考えたそうです。


はぃ‥、分かりました。未熟者で申し訳ありませんでした。

次は、第二段階として、「ペスト」に挑戦してみたいと思います。

異邦人 (新潮文庫)

異邦人 (新潮文庫)