『日本史の論点~邪馬台国から象徴天皇制まで』(中公新書編集部編:中公新書)を読了しました。
高校生の頃、「日本史」と「世界史」は好きな科目でした。
本書は、その「歴史」の面白さと奥深さを再認識させてくれました。
なかでも、大石学・東京学芸大学教授が執筆された「第3章 近世」が面白かったです。
ちなみに、この章での論点は次の7つでした。
①大名や旗本は封建領主か、それとも官僚か
②江戸時代の首都は京都か、江戸か
③日本は鎖国によって閉ざされていた、は本当か
④江戸は「大きな政府」か「小さな政府」か
⑤江戸の社会は家柄重視か、実力主義か
⑥「平和」の土台は武力か、教育か
⑦明治維新は江戸の否定か、江戸の達成か
そして、これらの論点に関し、次のような記述が強く印象に残りました。
・近世において、将軍や大名など政治権力のトップは、徐々にリーダーシップを失い、
その一方で、実務官僚の力が強くなった。(これを責任主体の喪失とみれば、いまの日本的体質は
まさにこの時代にできあがったと言ってもいい。)
・近代東京の一極集中は江戸の一極集中を受け継いだものであり、藩邸は役所に、
各地の城下町はそのまま県庁所在地となった。江戸(近世)の国家構造・社会構造が、
そのまま東京(近代)に受け継がれたのである。
・江戸幕府の基本にあるのは「仁成」。つまり、民衆をいたわり、慈悲の心をもって接することで、
弱者救済を心がける「大きな政府」が基本であった。常にセーフティネットを整備し、
護送船団方式で弱者を守るという考え方である。
・私たちが歴史を見るとき、ともすると、社会がAからBに、0から1に、わずかの間に変わったように、
つまりデジタル的に見てしまう。しかし、当時を生きていた人々の目には事態の多くは少しずつ連続して、
つまりアナログ的に変化していた。
先ほど、歴史が好きな科目であることを書きました。
しかし、その勉強法は、教科書の暗記が主体であったと反省しています。
できれば、若い頃から、本書に書かれているような論点について、深く考える姿勢を身につけるべきでした。
「歴史に学ぶ」とはこういうことを示すのだと、遅ればせながら学習した次第です。
- 作者: 中公新書編集部
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2018/08/17
- メディア: 新書
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