一昨日放映されたNHKニュース「おはよう日本」の「おはBiz」に、
豊永キャスターのインタビュー内容は、番組HPから引用すると、おおむね次のようなものでした。
Q 退任後5年半たって、700ページを超える本(「中央銀行」)をまとめた意味について
A 金融政策を巡って内外でいろんな議論が行われてきた。
意見が鋭く対立するケースがあった。中央銀行の役割とは何か、ということについて、
理解のしかたが人によってずいぶん違うと感じた。一石を投じたい、そう思うようになった。
Q 金融緩和には「経済を劇的に改善するカンフル剤」というイメージがあるが
A 経済に大きなショックが加わった時に、
できるだけ経済の変動を小さくするという意味で金融緩和がある。
これは本質的には、将来の需要を現在に持ってくる、という政策だ
(具体例を挙げると)金利が下がる、株価が上がる。
そうすると、例えば住宅ローンを借りて家を建てようと考えていた人は
「借りるのは今だ」と思う。
(こうしたことは)ずっと頼れるわけではない。基本的には需要の先食いだから。
(金融政策によって)漠然とデフレ・物価を何とかすることが
将来の明るい経済につながるという認識は、それは危険だな、危ないな、と思う。
Q 「2%の物価目標」、「デフレからの脱却」について
A 経済の変動はどこから来たかというと、実は物価ではない。
圧倒的に金融的な不均衡というか、バブルだ。バブルが拡大し、崩壊し、金融危機をもたらす。
(大切なのは、)物価という数字だけで経済の不均衡が捉えられないという事実、
これをしっかり受け止めたうえで、金融政策を運営していくことだ。
Q 中央銀行に依存しがちな政策運営について
金融のインフラを提供する仕事に失敗すれば、民間の経済自体を破壊してしまう。
つまり、大きなマイナスをつくらないことによって、プラスをつくる仕事をしている。
う~む、なるほど‥‥。
「大きなマイナスをつくらないことによって、プラスをつくる仕事をしている。」ですか‥‥。
中央銀行の使命と役割を端的に表現していると思います。
中央銀行に限らず、世の中には、こういう仕事をしている人や組織は多いと思います。
とっても大切なんだけど目立たないんですよね‥‥。
ふと、ドイツの思想家・シラーの『大いなる精神は静かに忍耐する』という名言を思い出しました。
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