しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

マイナスをプラスに

一昨日放映されたNHKニュース「おはよう日本」の「おはBiz」に、

白川方明・前日銀総裁が出演されていました。

豊永キャスターのインタビュー内容は、番組HPから引用すると、おおむね次のようなものでした。


Q 退任後5年半たって、700ページを超える本(「中央銀行」)をまとめた意味について

A 金融政策を巡って内外でいろんな議論が行われてきた。

  意見が鋭く対立するケースがあった。中央銀行の役割とは何か、ということについて、

  理解のしかたが人によってずいぶん違うと感じた。一石を投じたい、そう思うようになった。


Q 金融緩和には「経済を劇的に改善するカンフル剤」というイメージがあるが

A 経済に大きなショックが加わった時に、

  できるだけ経済の変動を小さくするという意味で金融緩和がある。

  これは本質的には、将来の需要を現在に持ってくる、という政策だ

  (具体例を挙げると)金利が下がる、株価が上がる。

  そうすると、例えば住宅ローンを借りて家を建てようと考えていた人は

  「借りるのは今だ」と思う。

  (こうしたことは)ずっと頼れるわけではない。基本的には需要の先食いだから。

  (金融政策によって)漠然とデフレ・物価を何とかすることが

  将来の明るい経済につながるという認識は、それは危険だな、危ないな、と思う。


Q 「2%の物価目標」、「デフレからの脱却」について

A 経済の変動はどこから来たかというと、実は物価ではない。

  圧倒的に金融的な不均衡というか、バブルだ。バブルが拡大し、崩壊し、金融危機をもたらす。

  (大切なのは、)物価という数字だけで経済の不均衡が捉えられないという事実、

  これをしっかり受け止めたうえで、金融政策を運営していくことだ。


Q 中央銀行に依存しがちな政策運営について

A 決して中央銀行はスーパーマンではない。

  金融のインフラを提供する仕事に失敗すれば、民間の経済自体を破壊してしまう。

  つまり、大きなマイナスをつくらないことによって、プラスをつくる仕事をしている。


う~む、なるほど‥‥。

「大きなマイナスをつくらないことによって、プラスをつくる仕事をしている。」ですか‥‥。

中央銀行の使命と役割を端的に表現していると思います。

中央銀行に限らず、世の中には、こういう仕事をしている人や組織は多いと思います。

とっても大切なんだけど目立たないんですよね‥‥。

ふと、ドイツの思想家・シラーの『大いなる精神は静かに忍耐する』という名言を思い出しました。