今日の日経新聞「核心」に掲載された、芹川洋一・論説フェロー執筆の
『やがて悲しき平成政治~野党の死命制する参院選』というタイトルの記事が面白かったです。
記事では、3人の政治学者が野党の現状について、次のように述べられていました。
・先祖返り
日本政治史が専門の御厨貴・東大名誉教授は自民党長期政権下の55年体制にもどったようだとみる。
・ビジョン欠如
半世紀にわたって日本政治を観察してきたジェラルド・カーティス米コロンビア大名誉教授は、
理念がなくて政策の方向性を示せない野党の現状を嘆く。
・受け皿不在
政治学者から熊本県知事に転身した蒲島郁夫・東大名誉教授は、野党結集の大事さを説く。
これら3人の方の発言を紹介されたうえで、芹川さんは次のように述べられていました。
『平成の政治改革がめざしてきた政治はこんなものではなかったはずだ。
思いえがいていたのは、ひとつの政党が政権の座についていて問題があれば
すぐに別の党が取って代われるようなかたちだった。』
『自民、公明、立憲民主、国民民主、共産の5政党の体制は、
昭和のころの自民、社会、公明、民社、共産とほとんど一緒だ。平成とは何だったのか。
30年たって振りだしにもどったかのようだ。昭和返りのすがたである。
「おもしろうてやがてかなしき鵜舟(うぶね)かな」(芭蕉) まるでそんな平成政治というしかない。』
そして、この状況を抜け出すきっかけになるのが平成19年夏の参院選であり、
その参院選の結果は1人区次第だとして、「野党はまとまらなければならない」と指摘されています。
もし野党がバラバラならどうなるか。
芹川さんは、「旅に病んで夢は枯れ野をかけめぐる」と、再び芭蕉の辞世の句を引用されていました。
う~む、なるほど‥‥。
芭蕉の句を引用されることによって、論評が格調高く感じてくるのが不思議です。
私の個人的な感想ですが、「民主党政権はもうコリゴリ‥‥」と、癒えないトラウマを抱えている人が、
この国には多いのではないかと思っています。
だとしたら、この国で再び二大政党政治が実現するのは、いったいいつの日になるのでしょう‥‥?
離合集散を繰り返す今の野党の現状では、しばらく「その日」は来ないような気がします。