しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

楽ではない「隠居生活」

『なるべく働きたくない人のためのお金の話』(大原扁理著:百万年書房)を読了しました。


まるで私のことを指しているような本のタイトルだったので、思わず購入してしまいました。

著者は、25歳から約6年間、東京郊外の小さなアパートで「隠居生活」をしていた人物。

「隠居生活」とは、「社会との関わりを最小限にして、基本的に週二日働き、

年収は百万円以下で暮らす」というものでした。


また、その「隠居生活」のアウトラインとは、①アパートは二万八千円の激安物件、

②三食自炊し、食費は一日三百円、③服は衣装ケースに入るだけ、④携帯は必要ない、

⑤冷暖房は使わない、⑥徒歩と自転車県内で生活する‥‥うんぬん。

‥‥ここまで読んで、今の私には到底無理だと悟りました。


なお、本書の帯紙には、「弱い私たちの、生存戦略。将来に不安や心配を感じている人へ、

もっと楽に生きられる思考法。」と書かれていました。

いえ、いえ、著者は本当は、とっても意志の強い方なのだと拝察します。


ちなみに、私が一番印象に残ったのは、第一章冒頭の次のような記述でした。

『はじめに明確にしておきたいのですが、お金について考えるとき、「自分がどうありたいのか」

 という問題を避けて通ることができません。というか、もっと正確に言うなら、

 お金のことは、「自分がどうありたいのかの問題」の一部でしかない、という気がします。

 お金の不安をなくすことが目的なのではなく、お金の不安がなくなったそのとき、

 自分がどんなふうに生きていくのか、ということのほうが重要だからです。』


はぃ‥‥、ごもっともなご指摘だと思います。

結論として、「楽に生きられる思考法」を身につけるのは、決して「楽ではなく」、

その前提として、確固たる「人生哲学」を持つことが必要であることを学べた本でした。

なるべく働きたくない人のためのお金の話

なるべく働きたくない人のためのお金の話