しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「忘れる」と「すてる」

今日は風は冷たかったものの、久しぶりによく晴れた一日となりました。


さて、『思考の整理学』(外山滋比古著:ちくま文庫)を読了しました。

読み終えた後は、付箋だらけになっていました。

いろいろと参考になることが多かった本でしたが、

そのなかから次の二つの記述を、この日記にメモして残しておこうと思います。


『思考の整理には、忘却がもっとも有効である。

 自然に委ねておいては、人間一生の問題としてあまりに時間を食いすぎる。

 それかといって、生木の家ばかりいくら作ってみても、

 それこそ時の風化に耐えられないことははっきりしている。

 忘れ上手になって、どんどん忘れる。自然忘却の何倍ものテンポで忘れることができれば、

 歴史が三十年、五十年かかる古典化という整理を五年か十年でできるようになる。

 時間を強化して、忘れる。それが個人の頭の中に古典をつくりあげる方法である。

 そうして古典的になった興味、着想ならば、かんたんに消えたりするはずがない。

 思考の整理とは、いかにうまく忘れるか、である。』


『本はたくさん読んで、ものは知っているが、ただ、それだけ、という人間ができるのは、

 自分の責任において、本当におもしろいものと、一時の興味との区分けをする労を惜しむからである。

 たえず、在庫の知識を再点検して、すこしずつ慎重に、臨時的なものをすてて行く。

 やがて、不易の知識のみが残るようになれば、そのときの知識は、それ自体が力になりうるはずである。

 これをもっともはっきり示すのが、蔵書の処分であろう。

 すてるのではないが、本を手放すのがいかに難しいか。試みた人でないとわからない。

 ただ集めて量が多いと言うだけで喜んでいてはいけない』


う~む、なるほど‥‥。「忘れる」と「すてる」ですか‥‥。恐れ入りました。

特に、「思考の整理とは、いかにうまく忘れるか、である。」は名言ですよね‥‥。

この本は、もう少し若い頃に読んでおくべきでした。ちょっと後悔しています。

思考の整理学 (ちくま文庫)

思考の整理学 (ちくま文庫)