しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

紙の不思議な魔力

日経新聞電子版「ストーリー」で連載中の

味の素株式会社による『残業なし奮戦記』を、毎日感心しながら読んでいます。

第三回目の今日は、『減らした書類はビル3棟分 ムダな仕事消える』というタイトルの記事でした。

そこには紙が持つ不思議な「魔力」について、次のようなことが書かれていました。


『紀元前3000年ごろ、古代エジプトパピルスが使われるようになり、

 紀元前後に中国で紙が発明されてから、紙は文明とともにあった。

 記録し伝える場面で、紙は人によりそってきた。働く人にとって紙は欠かせない存在だったと言っていい。

   ~ (中略) ~

 紙には不思議な魔力がある。5000年続くDNAがそうさせるのか、紙を手にすると、

 人は何かを書き込まずにはいられない。

 パソコンで作った文章や資料が印刷され、目の前に置かれる。

 すると完璧に仕上げたい衝動に駆られ、自然に右手は赤ペンに伸びる。

 部下に確認を求められた上司は「てにをは」までこだわる。

 図表やグラフの見栄え、文字の大きさ、配置などこまごまと注文を出す。

 上司の修正指示に基づいて、部下は文書を作り直す。』


う~む、なるほど‥‥。

何人もの決裁権者が存在する組織で働いてきた私には、痛いほどよく分かります。

そういう自分自身も、紙がないと落ち着かない人間でした。今もそうだと思います。


魔力を持つ紙との決別に、味の素が大胆に取り組んだのは、本社のフリーアドレス化。

「自席に机と引き出しがある。紙の置き場に困らない。だから紙がなくならない。

自分の席がなくなれば、いや応なく紙を減らさざるを得なくなるはずだ。」というのが、

その着眼点だったようです。

そして記事の最後には、次のようなことが書かれていました。


『メモ、会議議事録、資料、報告書‥‥紙は、個人や部署が蓄積したノウハウそのものだった。

 今後は電子化され、組織の枠を超えて簡単に共有できるようになる。

 "組織知"が集約しやすくなれば生産性も上がる。5000年の人類の友、紙よ、さらば。』


人類は本当に紙と「おさらば」できるのでしょうか‥‥?

半信半疑の私だけれど、味の素の果敢な取組は、とっても刺激的な内容だと思っています。