『読書をしていて困難な個所にぶつかっても、いつまでも爪をかんでなんかいない。
一、 二度、突撃をこころみたら、あとはほうっておく』という言葉で、
いつものように鷲田清一さんの、次のような解説がありました。
『気を張りつめているとぐったりし、判断力も鈍るから、と16世紀フランスの思想家は言う。
いったん引き下がり、時間を置いていろんな角度から眺めなおすと。
「エセー3」(宮下志朗訳)から。
優れた本は読むたびに違う顔つきをする。読むほうの関心も移りゆくから。
頁(ページ)が赤線だらけになって、同じ書物を3冊買ったことが私にはある。』
へぇ~、すごいなぁ~‥‥。
鷲田さんは、同じ書物を3冊も買ったことがあるのですね。
私は、「論語」については、「岩波文庫」、「中公文庫」、そして「講談社学術文庫」と
違う出版社の本を3冊所有していますが、
鷲田さんのように、同じ本を3冊も買うほど読みこなしたことがありません‥‥。
(夏目漱石の「こころ」、三島由紀夫の「金閣寺」、柴田翔の「されどわれらが日々」など、
同じ本を2度、3度と読み直したことはあります‥‥。)
解説にあった「優れた本は読むたびに違う顔つきをする」というのは、けだし名言だと思います。
逆に言えば、読むたびに「違う顔つき」をするのが、名作と言われる本の必須条件なのかもしれません。