しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

言語は文化

昨日5日の愛媛新聞「現論」欄に、佐伯啓思・京大名誉教授が、「英語民間検定導入延期」に関して、

『母国語での表現力重要』と題する、次のような論評を寄稿されていました。


『‥‥そもそも日本語能力だけでなく、コミュニケーション能力全般が低下し、

 世界についての知識・関心も低下しているこの文化状況の中にあって、

 英会話能力の習得よりも先にやらなければならないことはいくらでもあるだろう。

 もちろん英語がしゃべれることにこしたことはない。

 しかし、決定的に重要なことは、英語力そのものではなく、何を話すか、どのように話すかである。

 英語力よりも会話力であり、会話を支えるものは話題であり、ユーモアのセンスであり、

 相手の真意を理解する力であり、場面を読む能力である。

 それを生み出すのは、まずは母国語による表現力であり、これは文化の問題なのである。

 端的に言えば、言語は文化である。たとえば、令和になつて脚光を浴びた万葉集の言葉は、

 日本人の感受性や自然観と深く結びついている。そして英語には英語圏の文化が背後にある。

 本当に表現したい内容もないのにいくら流ちょうな英語だけしゃべっても無意味だ。

 大事なのは、表現し伝達する内容なのである。

 にもかかわらず、「英語がしゃべればいい仕事につける」などというさして根拠もない幻想は、

 かえって「英語帝国主義」の片棒を担ぐだけのことであろう。』


う~む、なるほど‥‥。佐伯先生の、相変わらずの鋭いご指摘に、ただただ感服しています。

さて、「英会話」といえば、孫娘はこの4月から英会話教室に通っていました。

ところが、妻から聞いた話によると、最近になって通うのを止めたそうです。

どうやら娘が、英会話教室の教育・運営方針に不信感を抱いたのがその原因のようです。


佐伯先生ではありませんが、私も孫娘には、英会話能力よりも

まずは母国語である日本語能力を、しっかりと身に着けてほしいと願っています。