労働政策研究・研修機構が、2月29日に、
「子どものいる世帯の生活状況および保護者の就業に関する調査」の調査結果を公表しています。
この調査は、労働政策研究・研修機構によると、
子どものいる世帯の生活状況や
その保護者(主に母親)の仕事の実態や要望などを調査し、
今後の保護者の仕事に対する支援策のあり方等を検討するための基礎資料として
実施されたものです。
調査結果のポイントのうち、私の主観で重要と思われる部分を抜き出してみました。
・専業主婦世帯には比較的裕福な世帯が存在する一方、
貧困層でありながらも妻が何らかの事情で働けない専業主婦世帯も大勢いる。
そのうち、「保育の手だてがない」ことが理由で働けない母親は全体の半数以上。
・小学校以上の子どもを持つ母子世帯の母親8人に1人が、「子どもの不登校問題」を経験。
・ワークライフバランスが困難な場合、保護者は仕事を優先する傾向。
多くの保護者は「仕事の時間が長すぎる」または「仕事で疲れ切ってしまった」ことが原因で
家事と育児を十分に果たせなかったと回答。
・保護者のメンタルヘルスの問題は、ひとり親、とくに無業母子世帯の母親が突出。
・子どものいる世帯の中位所得の半分、
いわゆる「貧困ライン」以下の所得で暮らす貧困層の比率(貧困率)は、
母子世帯は52.3%(可処分所得ベース)で突出して高い。
父子世帯の貧困率も、可処分所得ベースは10.2%で、税込所得ベースの約2倍。
子どものいる世帯には、社会保険料や税負担が重くのしかかり、
所得再配分による貧困軽減は、十分に機能していない可能性が高い。
・保護者自身の成育環境は、その後の経済状況に大きな影響を及ぼす。
貧困率は、「10代出産」、「中学校卒」、「離婚」といった経験を持つ者が顕著に高い。
貧困のリスク因子を持つ確立が、
「両親の離婚」を経験した保護者(母親)により顕著に現れている。
・国には「保育園・学童保育の拡充」、会社には「就業時間の配慮」を望む声が強い。
多くの保護者は公的保育サービスが足りないと考えている。
この調査結果のポイントを読んで、特に気になることが2点あります。
一つは、「調査結果の概要」の本文に書かれているように、
税や社会保障を通じての所得再配分は、
子育て世帯内部の所得格差を逆に拡大させている可能性が高いこと。
もう一つは、
今後、保育園の拡充などで妻の就業障壁を除去することによって、
専業主婦世帯の貧困率を引き下げることが可能であること。
調査結果からは、とりわけ若い母親が
経済的に苦しい中で、メンタルな問題を時に抱えながら、
一生懸命子育てに奮闘している姿が目に浮かびます。
それにしても、人はいつ、どんな時に涙を流すのでしょうか?
人はいつ、どんな時に政治や行政に助けを求めようとするのでしょうか?
自分自身への自戒を含め、いろんなことを考えさせてくれたレポートでした。