第一生命経済研究所から、
「“失われた20年”が消費に与える影響」というレポートが公表されています。
レポートでは、
カリフォルニア大学ロサンゼルス校のギウリアーノ教授と
IMF(国際通貨基金)のスピリンバーゴ氏が、
2009年の研究で
「経済環境が価値観に影響を与えることを明らかにした」ことを紹介しています。
具体的には、
「高校や大学を卒業してしばらくの間に不況を経験するかどうかが、
その世代の価値観に大きな影響を与えることを
米国のデータを使って明らかにした」というものです。
そして、レポートは、
このことは日本にも当てはまると考えるのが自然だとして、次のとおり指摘しています。
『実際、各世代の消費性向を比較すると、
若い世代ほど消費性向が低くなる傾向が見て取れる。
若年層ほど財布の紐が固いのだから、
将来に亘って現役世代の消費は抑制され、今後は厳しい消費環境が予想される。
そして、これ以上国内消費市場が縮小すれば、
企業はこれまで以上に海外で収益機会を求める必要に迫られる。
これは我々の子どもや孫たちの国内での雇用機会が失われることを意味する。』
さらにレポートは、
我が国でも経済環境が消費に対する価値観に影響を与えているとして、
次のとおり結論づけています。
『失われた20年を経験した我が国の個人消費は、
当面厳しい状況が続くことを覚悟しなければならない。
それはたとえ景気が回復したとしても、財布の紐が固い世代が増えており、
消費の盛り上がりにつながりにくい構造に日本はなっているからである。
こうした社会の中で、何を作り、どう売るか、需要を掘り起こすことが重要な課題となる。』
う〜ん、参りました。
今後、景気が回復したとしても、
価値観の変化で消費が盛り上がらない構造に日本がなっているとしたら、
いくら政府や企業が成長戦略を唱えても、その掛け声はむなしく聞こえるのでは…と、
極めて悲観的になります。
果たして、レポートが指摘しているように、
こうした社会において、潜在需要を掘り起こすことは可能なのでしょうか?
簡単ではないような気がします。