日中国交正常化に光を当てながら、
政治的リーダーシップの分析を試みた著書
「日中国交正常化〜田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦」(服部龍二著:中公新書)を
読了しました。
「2011年 大佛次郎論壇賞、アジア・太平洋特別賞ダブル受賞」という
帯紙に惹かれて購入しましたが、購入して正解でした。
日中国交正常化の舞台裏で、
先人がどれほどの苦労をされたのか、痛いほど理解できました。
本書の中で特に印象の残った記述は、次のようなものです。
・リーダーシップの要素とは、企画構想力、実行力、決断力、包容力であり、
そのすべてを田中(角栄)は備えていた。
・田中(角栄)と大平(正芳)は官僚の扱いに長けており、
日中国交正常化では首相と外相が外務官僚と連動していた。
・国交正常化で置き去りにされたのは、
未曾有の戦禍を強いられた中国人の心だろう。
そのことは、権威主義的な中国の政治体制によるところが大きいとはいえ、
短期間で一気に交渉を妥結させた負の遺産でもあった。
・政治家というのは最も権力があるときに、最も難しい問題に挑戦するのだ。
・されど日本人はあの戦争を忘れないし、
そのことを前提に中国人が寛容の心で日本と向き合う。
そして日中両国は、ともに善隣友好関係を築いていく。それが日中講和の精神だろう。
日中国交正常化の1972年、私は高校二年生でした。
当時、このことに関しては、ほとんど無関心だったと思います。
そのくせ、少し世界史や日本史を勉強して、知ったかぶりをしていた自分…。
実は何も考えず、何も分かっていなかった自分…。
真理という大海原は果てしなく広いということを
人生の終わりが近づいきて、少しずつ分かりつつあります。
とにかく全てに関して勉強不足です。
日中国交正常化 - 田中角栄、大平正芳、官僚たちの挑戦 (中公新書)
- 作者: 服部龍二
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/05/25
- メディア: 新書
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