政府が「原発ゼロ」の閣議決定を見送ったことに関し、
「かんべえさん」が、溜池通信の不規則発言で、分かりやすい例を引いて解説されていました。
以下、引用させていただきます。
『「10年後のあなたの年収は、
1000万円と500万円と300万円のうち、どれが一番いいでしょうか?」
そんなことを聞かれたら、誰だって1000万円と答えるだろう。
が、実際の世の中では、1000万円の仕事は1年で首になるかもしれず、
家に帰れないかもしれず、身体を壊すかもしれない性質のものであることが多い。
でもって、300万円の仕事は、
そんなに辛くはなくて、毎晩、7時には家でビールが飲める仕事かもしれない。
本来であれば、そういった付帯条件をすべて明記したうえで、
「1000万か、300万か」を尋ねるべきであろう。
それと同様に、「2030年の原発比率は0%と15%と20〜25%のうち、
どれがいいですか?」と聞いたら、誰だって「0%がいい」と答えるはずである。
原発が好きな人なんて、よほどの変人以外にいるわけないでしょうが。
そして、「命には代えられないから」という理由は重いのである。
が、その0%にはどんな付帯条件があるのか、ちゃんとした検証や予測が必要であろう。』
いつもこうした身近で分かりやすい「例え話」を思い付かれることに、
頭の固い私などは、つくづく感心してしまいます。
そして、「かんべえさん」は「原発ゼロ」になった場合の
シミュレーションを考えるのが政治家の仕事であるとして、
次のように鋭い指摘をされています。
『政治家は政策を考える時間があり、
官僚に命じて情報を取り寄せることができる立場にあり、
そのことで報酬をもらっている。
それが仕事である政治家が、
なぜ情報を持たないアマチュアの「民意」に答えを求めるのか。
それは自分の仕事をさぼっていることにほかならない。
選挙で選ばれた選良が、
民に代わって重要事項を決定するのが民主主義の本来の姿ではないのか。』
政府・与党の国会議員の先生方には、さぞかし耳が痛い指摘だと思います。
「民意」を政策や戦略に反映させるのは、これほど難しいものなのですね。