今月22日(月)の日経新聞「大学」面では、
大学のトップが、この4月の入学式で、学生に語りかけた言葉が紹介されていました。
「グローバル」、「教養」、「将来設計」をキーワードに、
主な大学でのあいさつがまとめられています。
わが母校・早稲田大学の鎌田薫総長は、
学内で学部の壁を越えたリベラルアーツ教育を展開していくことを強調し、
「鋭い洞察力を持って問題の核心を把握し、
多様な価値観を持った人々との相互理解を深め、
自らの頭で解決策を考え実行していく力をつけて」と話されたそうです。
また、慶応大学の清家篤塾長も、
「変化の時代に過去の延長線上で考えては問題は解決できない。
状況を理解し、自分の頭で考える力をつけることが重要だ。
慌てずに腰を据えて学問に専念し、大学時代にしかできないことに没頭して」
と力を込めて話されたそうです。
ライバル校のそれぞれのトップが、
期せずして「自分の頭で考える」という言葉を使われていますが、
あいさつの全体を通じた趣旨も、ほぼ同じだったのでは…と勝手に想像しています。
そのほか、あいさつのなかで最も目立ったのは、
国際社会で活躍できる人材を求める声だったようで、
これも熾烈なグローバル競争に晒されている「日本の今」を象徴しているのかもしれません。
ところで、私が一浪の末、大学に入学したのは1975年(昭和50年)でした。
その当時は、村井資長総長だったのですが、
入学式の式辞で総長がどのようなことを述べられたのか、さっぱり記憶にありません。
おそらく、立派なことをおっしゃったことに違いなく、
その式辞をしっかり心に刻んでおけば、
その後の大学生活も、続く社会人生活も、もっと「まともな」ものとなっていたことでしょう。
今になって、「大学」という「場」が、
「知」の探求をする「場」であったことに気づきます。
「師」、「友」、「本」、「真理」、「空気」、「環境」、「時間」、「教養」…。
求めようとすればいくらでも手に入れることができたにもかかわらず、
求める努力をしなかった自分…。後悔先に立たず。
新入生の皆さんは、「自己を磨く訓練」を大学時代に是非……。