通勤電車の中で読み進めていた「銃・病原菌・鉄㊤㊦」
(ジャレッド・ダイアモンド著:草思社文庫)を読み終えました。
『あなたがた白人は、
たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、
ニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。
それはなぜだろうか?』
本書は、「ヤリ」という名の、ニューギニアの優れた政治家の問いかけに
答えようとすることから始まります。
「各大陸ごとの差異が生じて、やがてその格差が大きく広がったのは何故か。」
人類史におけるこの疑問の中でも、
「なぜ中国ではなくヨーロッパが主導権を握ったのか。」
という疑問に対する分析が、私にはとても興味深かったです。
その答えが、「中国の長期にわたる統一とヨーロッパにわたる不統一」
だという著者の指摘には、目からうろこが落ちました。
それはどういうことかというと、
『中国では、地域の地理的結びつきが強かったことがかえって逆に作用し、
一人の支配者の決定が全国の技術革新の流れを
再三再四止めてしまうようなことが起こった。
これとは逆に、分裂状態にあったヨーロッパでは、
何十、何百といった小国家が誕生し、それぞれに独自の技術を競い合った。』
本書は、上下それぞれ約400ページにわたる大作で、
同じような記述が、何回も繰り返し登場しますが、
全然くどくなく、その都度復習できるような感じです。
むしろ、1万3000年にわたる人類史の謎を、
約800ページに要約できることの方が神業なのかもしれません。
本書を読むと、
些細なことで落ち込んだり、どうでもいいことで悩んだりすることが、
なんだか馬鹿らしく、自分がすごくちっぽけな存在に思えてきます。
そして、「悠久の中のひととき」を生かされているという感覚になります。
それほど、スケールが大きいというか、気宇壮大な本だと思います。
文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
- 作者: ジャレド・ダイアモンド,倉骨彰
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2012/02/02
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文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
- 作者: ジャレド・ダイアモンド,倉骨彰
- 出版社/メーカー: 草思社
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