心配していたことが、とうとう現実味を帯びてきたような…、
今月24日付けの「溜池通信」の特集「アベノミクスの虚像と実像」を読んで、
そんな思いを強くしました。
このレポートの中で「かんべえ」さんは、
「アベノミクスの暗黒面は日本国債にあり」と述べられたうえで、
次のような問題を提起されています。
『 〜(中略)〜 そこで、重要な点について検討してみたい。
アベノミクスが失敗した場合の最大のリスク、
すなわち「本当に物価が上昇し、
長期金利が上昇する(=国債が暴落する)ようになったら、
どうすればいいのか」である。』
この問題に正面から取り組んだ研究が、
自民党が野党であった2011年6月1日に発表した
「X−dayプロジェクト」と題する報告書であることを、
レポートを読んで初めて知りました。
(自民党は、下野していた時も、めげずに頑張ってたんですね。感心しました。)
同報告書によると、国債価格が急落した場合、以下の4つの事態が想定されるようです。
① 一部金融機関の経営不安や金融システムへの不安
② 企業の資金調達の停滞や過大負債企業の経営困難
③ 市中金利の上昇に伴う個人への影響(住宅ローンなど)
④ 政府財政の一段の悪化。1%の金利上昇は、
1年で1兆円、2年で2.5兆円、3年で4.2兆円の利払い費増加を招く。
う〜ん、なるほど。深刻な影響が私にも理解できます。
さらに驚いたのは、こうした事態が起きた場合の金融政策として、
潤沢な資金の金融市場への供給やリスク資産等の購入など、
今の日銀がまさに実行している施策の必要性を報告書が提言していることです。
そして、「かんべえ」さんは、相変わらずの名調子で、次のように解説されています。
『本来であれば、「異次元の金融緩和」とは、
X-dayの後にこそ必要な政策だったのではないか。
しかるにそのカードはもう切ってしまった。』
〜(中略)〜
先発投手は好投しているが、リリーフピッチャーはベンチに居ないのである。』
そうですか…。
黒田日銀という先発ピッチャーが打ち込まれると、
日本経済はリリーフ不在で、敗戦が確実になるのですね。
レポートの最後に、「かんべえ」さんは、
『「3本の矢」が放たれた後は、財政健全化が最大のテーマになるのでは』
と指摘されています。
たまたまというべきか、同日付けの日経新聞「経済教室」は、
井堀利宏・東京大学教授の『財政再建の課題㊤〜「平時」の歳出削減は不可避』で、
「機動的な財政出動を継続する余裕はない」というのがその結論でした。
どうやら財政再建以外に、日本経済復活の「王道」はないみたいです。