しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

真理のことば

今月27日の日経新聞「経済教室」は、
田中秀明・明治大学教授の「財政再建への課題㊦〜予算の仕組み、抜本改革を」でした。

大変参考になる論考でしたので、
いつものようにこの日記をメモ代わりにして残しておきます。

田中教授は、日本が財政再建に失敗している根本的な原因は、予算制度にあるとして、
その問題点を、次の3点に整理されています。

第1の問題は、
景気変動に対応して安定的に財政を運営する仕組みが欠如している。
財政法は景気変動を想定しておらず、
法律上のルールは、どんなに不況になっても収支均衡である。

第2に、支出コントロールが弱い。
毎年の予算編成の基本となるのが、概算要求基準(シーリング)であるが、
シーリングは一般会計の当初予算のみを対象としており、例外も多い。
一般会計の歳出を抑制しても、補正予算や特別会計で歳出を増やせる抜け穴がある。

第3に、意思決定システムが断片化している。
予算編成を巡って政府の内外に「拒否権」をもつプレーヤーが存在し、
首相や財務相もこれを制御できない。

次に、田中教授は、
財政再建に成功した国は、
ルールを守る(コミットメント)ための仕組みを導入しているが、
日本ではそれが欠如しているとして、次の3点の改革を提案されています。

第1に、拘束力のある中期財政計画と支出ルールに基づき毎年の予算を編成する。
複数年にわたり支出にシーリングを設け、
新たな支出には、財源の手当てを義務づけるルールを課す。

第2に、独立財政機関の設置。
財政規律を維持することが難しいのは、
楽観的な成長率、会計上の操作など、政治的なバイアスが働くからであり、
これを是正するため、専門家で構成される委員会や行政組織を設置する。

第3に、財政運営の枠組みを規定する財政責任法を制定する。

田中教授の論考で一番印象に残ったのは、
「予算制度改革は政治改革と同義である。
 財政再建が難しいのは、政治家が自らを律する問題だからである。」という言葉です。

「改革には痛みが伴うけれども、最後は、危機感を共有し、
 政治家が国民に根気強く説得して理解を得ることが必要である。」
論考の最後に書かれてあるこの文章は、
予算制度改革に限らず、すべての改革に通じる「真理のことば」だと思います。

さて、明日は飲み会の予定が入っています。
この日記も、約2か月、なんとか継続して書くことができましたが、
明日はお休みすることを予告しておきます。(ついでに今週の金曜日も飲み会です。)