「女性も若者も高齢者も海外の力も活用せずに、
成長を維持している日本には潜在力が眠っている。」
逆説的な言い回しですが、説得力のある言葉です。
先月31日(金)の日経新聞「経済教室」の
『活力維持へ「3つの壁」破れ〜日本経済研究センター・2050年展望』を読んで、
そのように思いました。
執筆者は、同センター理事長の岩田一政さんでした。
このレポートでは、大胆な改革を実行し、人口減少が続いても
21世紀半ばに1人当たり国民総所得(GDI)が倍増する「成長シナリオ」を実現するためには、
次の「3つの壁」を打破する必要があるとしています。
第1は、雇用慣行・制度の壁
第2は、国内外からの新規参入を阻む資本・規制の壁
第3は、エネルギーの壁
「3つの壁」の内容は、長くなるので省略するとして、
その壁を取り除いた未来の姿は、以下、この日記に書き残しておこうと思います。
・女性は労働参加率、登用比率の両面で今のオランダ並みとなり、各方面で活躍する。
・正社員とパートの処遇を均等にする雇用改革にも成功し、高齢者の就業も進む。
・投資・金融分野の経済統合を積極的に進める結果、市場開放度は米国やオランダ並みとなる。
・働きやすい雇用環境が実現して労働生産性が高まり、
優れたアイデアや事業モデルを持つ企業が成長をけん引する。
50年までの平均成長率は1.3%と、00〜12年度の2倍近くとなる。
・年金などの社会保障給付を賄うために、
消費税は30年までに段階的に25%に引き上げることが必要。
・国民負担率(租税+社会保障費)は54%まで高まるが、
現役世帯の実質消費は10年に比べて17%高まる。負担増を成長の果実が上回る。
・基礎的財政収支(プライマリーバランス)は黒字化し、
政府債務残高は名目国内総生産(GDP)の2倍程度で横ばいになる。
折しも、安倍首相は今日(5日)、都内で講演し、成長戦略の第3弾を明らかにしたところです。
成長戦略の内容は、まだ承知していませんが、
国民の負担増を成長の果実が上回るような将来を、是非実現したいものです。
では、成長するためには何が必要なのでしょう?
その「答え」も、レポートにはしっかり書かれていました。
『成長の原動力は、
民間企業の競争を通じて持続的なイノベーション(技術革新)を促すこと、
そのために人材の力を生かすことだ。』
これは、いつの時代も変わることがない、成長のための「原理・原則」だと思います。