しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「期待」から「失望」へ

昨日(14日)の産経新聞「正論」は、
「かんべえさん」こと、吉崎達彦双日総合研究所副所長の
『「投資立国」としての生き方探れ』でした。

この論評で「かんべえ」さんは、
『既に日本経済は、貿易収支の赤字を所得収支の黒字で補てんする
「成熟した債権国」に移行してしまったのではないか』として、
次のように述べられています。

『 〜(略)〜 ひとつには所得収支を活用する「投資立国」の視点が必要だ。
 円安になれば、対外投資のリターンである所得収支黒字がそれだけ増加する。
 これをいかに国内に持ち帰り、雇用につなげるかという発想が重要になる。
 安倍晋三首相が唱える通り、
 GDP(国内総生産)に所得収支を合わせたGNI(国民総所得)を目標に据えるのは
 この点で正しい方向である。』

ところで、GNIといえば、
安倍政権は、今月12日に取りまとめた成長戦略で、
「10年後に1人当たり名目GNIを150万円以上増やす」との目標を盛り込んでいます。
なんだか、私たち国民の所得が1人当たり150万円以上増えるように聞こえますが、
日経新聞の「きょうのことば」によると、GNIは次のように解説されています。

『1年間に日本人や日本企業が国内外で得た所得の総額。
 国内で生み出した付加価値の総額を表す国内総生産(GDP)に、
 海外から得た利子・配当などを加え、海外に支払う利子・配当を差し引く。
 GNIには企業所得が含まれるため、
 1人当たりGNIは一人ひとりの給与所得を意味するものではない。』

う〜ん、なるほど…。
要するに、企業所得から給与所得にどれくらい配分されるかが、本当は重要なのですね。

「かんべえさん」の論評を読んで、GNIを目標に据えることの意味は理解できました。
しかし、私の所属する自治体では、国からの地方交付税削減を踏まえて、
来月から給与が削減されることが、ほぼ確実な情勢になっています。

アベノミクス」でデフレ脱却を図り、民間賃金の上昇を目指しながら、
一方で、これまで血の滲むような行政改革を行ってきた地方公務員の給与を削減する。
こればっかりは、とても理解できませんし、
おそらく「アベノミクス」の足を引っ張ることは間違いないと思っています。

「期待」が「失望」に変わってしまっては、
「1人当たり名目GNIを150万円以上増やす」という言葉も、
むなしい響き以外のなにものでもありません。
私だけでなく、
塗炭の苦しみをなめることになる全国の地方公務員は、きっと怒っているはずです…。