町立図書館で借りてきた
「55歳からのハローワーク」(村上 龍著:幻冬舎)を読了しました。
定年退職前後の生き方について、
いろいろと考えさせられることが多い本でした。
著者の村上龍さんは、「あとがき」で次のように書かれています。
『定年後に訪れる困難さは一様ではない。経済的格差を伴って多様化している。
だから、五人の主人公は、
「悠々自適層」、「中間層」、「困窮層」、それらを代表する人物を設定した。
だが、すべての層に共通することもある。
それは、その人物が、それまでの人生で、
誰と、どんな関係を築いてきたかということだ。
「信頼」という言葉と概念を
これほど意識して小説を書いたのもはじめてのことだった。』
私は、この本の五編の中編小説の中で、
「キャンピングカー」の主人公と「ペットロス」の主人公の夫に共感を覚えました。
なんだが、自分の将来を暗示されているような気がしました。
さて、この本の中には、「さすが村上龍さん」と思わせる名言がいくつも登場します。
私の一番のお気に入りは、「結婚相談所」に出てくる次の言葉です。
『人生でもっとも恐ろしいのは、後悔とともに生きることだ。孤独ではない。』
『この国には何でもある。ただ希望だけがない。』
「希望の国のエクゾダス」に出てくる、この名言に匹敵する言葉だと思いました。
図書館に返却するのが惜しいくらいの、いとおしい読後感のある本でした。
それはそうと、
村上龍編集長には、JMM(ジャパン・メール・メディア)を早く再開してほしいです。
- 作者: 村上龍
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2012/12/05
- メディア: 単行本
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