しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「責任の取り方」を考える

二つの新聞の別々の記事が、偶然にもつながっているような…。
「そんなこともあるのかな?」と、思いを巡らした一日でした。

記事の一つは、産経新聞「産経抄」です。
『歴史家の山本博文さんによると、江戸時代の武士は、
 「現在ならどうということもないことで切腹に追い込まれた」(『切腹光文社新書)。
 たとえば、会津藩の財政窮迫を打開するよう命じられた
 藩士の長井九八郎の場合がそれにあたる。
  〜(略)〜
 他の藩との争いを避けるために奔走した武士が、
 かえってその行動をとがめられて、切腹した例さえある。』

もう一つの記事は、読売新聞「名言巡礼」です。
『大八(天童織田藩家老格の家に生まれた藩士、吉田大八のこと。)は
 「勤王の志士」として知られる。
 戊辰戦争では新政府側に近い立場から
 奥羽諸藩の犠牲を最小限に抑えるよう動いたことが逆に一部の藩から非難され、
 最後は天童藩を守るため数え37歳で切腹した。』

産経新聞「産経抄」の記事にある
『他の藩との争いを避けるために奔走した武士が、
 かえってその行動をとがめられて、切腹した例』というのが、
読売新聞「名言巡礼」で解説されている吉田大八のことではないかと、
二つの記事を読み比べて考えた次第です。

ちょっと考え過ぎなのかな…?

ところで、今日の産経新聞「産経抄」は、
江戸時代の「切腹」に比べて、「現代はミスや不注意に比較的寛容な時代」というが、
そうともかぎらないと、次の二つの地裁判決を比べています。

その一つは、
愛知県内に住む男性(91)が、線路内に立ち入り、電車にひかれて亡くなったことで、
JR東海が列車遅延に対する損害賠償約720万円を
介護をしていた妻と協力している長男に要求したのに対し、
名古屋地裁が全額の支払いを命じた事件。

次に、乗客106人が死亡したJR福知山線脱線事故で、
業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の歴代3社長に、
神戸地裁が無罪を言い渡した事件。

『「切腹」の副題にもなっている「日本人の責任の取り方」は、
 江戸時代だけでなく、平成の今もどこかおかしい。』

う〜ん、確かに「理不尽、不条理」のような気がします。
果たして、「現代はミスや不注意に比較的寛容な時代」なのかどうか?
江戸時代の「切腹」以外に、比較する対象はないのでしょうか…?

いろいろ考えてしまいます。