『自民党と公務員制度改革』(塙和也著:白水社)を読了しました。
「消費税増税」といった身近なテーマでなく、
「公務員制度改革」という、ある意味地味で、
一般向けとは思われないテーマに挑まれた著者と出版社に、
まずもって敬意を表したいと思います。
公務員制度に関する予備知識がないと、退屈な本になってしまう危険性ありましたが、
著者の綿密な取材に基づいた迫力ある文章によって、
そんなことには関係がなく、とても読み応えのある本に仕上がっていて、
私は最初から最後まで、飽きることなくこの本を読むことができました。
おかげで、公務員制度の歴史、その問題点や課題を理解することができました。
本の中では、次の二箇所の記述が強く印象に残りました。
・公務員制度改革とは決して巷間言われる「公務員バッシング」にはあたらない。
人事責任があいまいな現状の公務員制度は、
政治の側に 「逃げ」をつくる口実になっている。
特に大きな行政過失については、
官僚と大企業だけが加害者として一方的にスケープゴートとされる慣行を生んでいる。
公務員制度改革とはなによりも政治家の責任、有権者との応答を明確にさせ、
民主政治をさらに成熟させる行為なのである。
・不況時の経済対策のような誰もがその必要性を認識する政策を打つことは
官僚の抵抗という点では摩擦は少ない。
首相の力量はまさに、公務員制度改革のような分野においてこそ
「最終裁定者・総合調整者」として問われるのである。
来週の15日に開催される臨時国会では、公務員制度改革関連法案も審議される予定です。
著者は、「あとがき」の中で、次のようにも述べられています。
『繰り返しになるが、公務員制度改革は徐々にしか進まない。
それを冷静な目で見守り続けることが大事である。
たとえそれが当初、打ち上げたものよりも骨抜きになっていたとしても、
一歩だけでも進むことに意義があると考えなければならない。』
「責任があいまいな制度」に、そろそろ終止符を打たなければなりませんね。

- 作者: 塙和也
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2013/07/17
- メディア: 単行本
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