昨日(18日)の朝日新聞「天声人語」で、
漫画家・やなせたかしさんの訃報を悼む一面コラムが出揃いました。
どのコラムも、心のこもった内容でした。
コラムの中の、その一節を抜き出してみました。
・日経新聞「春秋」(10/16)
正義の味方というのなら、まず飢えている人を救わなくては…。
やなせさんはしばしばこう語っていた。
だからアンパンマンは自らの顔をちぎってみなに分け与える。
そして、そのために自分も傷つくのだ。
声高に叫ぶ正義、敵をたたきのめす正義とは違う価値観である。
芯の一本通った、その人の訃報をしみじみと聞く。
・毎日新聞「余録」(10/16)
大人たちの誰一人として予想しなかった異変は幼稚園や保育園で起こった。
図書館ではいつも貸し出し中、園の絵本はたちまち読まれすぎてボロボロになり、
出版社の営業に注文が殺到しだしたのだ。
アンパンマンはひもじい人を救うため世界へ飛び立つことになる。
・読売新聞「編集手帳」(10/16)
水にぬれただけでヘナヘナになるアンパンマンにしても、常勝不死身のヒーローではない。
「正義とは、じつは弱いものだ。」という大人にもむずかしいかろう“アンパンマン哲学”が、
時代を超えて幼児の心をとらえつづけたのは不思議でもある。
童心を失わない者同士で通じあう魔法の言葉があったのだろう。
・産経新聞「産経抄」(10/17)
先立たれた夫人との間に子供がいなかったが、自らが生み出したキャラクターについて、
「生命の終わるときがきたら、ぼくの遺産はすべてアンパンマンに継承させます。」
10年前に出した自伝をこう結んでいる。
やなせさんの遺志を継いで、子供たちを励まし続けるだろう。
・朝日新聞「天声人語」(10/18)
絵筆ひとつで童心と行き交い、老いていっそう輝きを放った。
3.11の後は病気を押して子らを勇気づけた。
「かっこよくない正義のヒーロー」を生んだ人の生き方を見て思う。
かっこ良いとは、こういうことを言うのだろうと。
娘と孫娘……。
我が家では、親子二代にわたってアンパンマンのお世話になっています。
孫娘の子供世代になっても、きっとアンパンマンに助けられていそうな気がします。
そういう自分が、
アンパンマンのテーマソングをそらんじることができるのも
不思議といえば不思議です。