しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

同じ船に乗る利益共同体

昨日は飲み会でした。
今日一日、お酒がなかなか抜けませんでしたが、やっと元の体調に戻ってきました。

さて、今週の12日から14日までの3日間、
日経新聞「経済教室」で『法人税改革の論点』が掲載されました。

論考を投稿されたのは、次の3人の先生方です。
 ・谷内 満・早稲田大学教授〜『企業減税、国民に広く恩恵』
 ・森信茂樹・中央大学教授 〜『課税ベース拡大も必要』
 ・鈴木将覚・京都大学准教授〜『投資減税より税率下げを』

それぞれの先生の論考を読んで、論点に関する理解が進んだような気がします。
以下、いつものようにこの日記をメモ代わりにして、
重要なポイントを整理しておきたいと思います。

まずは、谷内教授の論考から。
 ・OECD加盟の21国のマクロ分析によると、消費課税や資産課税に比べ、
  法人税は1人当たりGDP成長率に大きなマイナス効果を持つ。
 ・日本の極めて厳しい財政状況に鑑みれば、税率引き下げによる税収増加は、
  保守的に見て、財源手当てをしっかりすることが重要である。
  減税財源としてはまず、さまざまな租税特別措置の廃止・縮小による
  課税ベース拡大が必要である。
 ・減税による企業利益増加の恩恵は目に見えない形だが多くの国民には幅広く及ぶ。

次に、森信教授の論考から。
 ・わが国で優先度の高い法人税減税は実効税率と表面税率の引き下げである。
 ・租特は、いわゆる政・官・財(業界団体)のトライアングルで形成されてきた
  既得権益で、その見直しは税制の公平性・透明性・簡素化に役立つ
  法人税改革となる。
 ・法人実効税率の高さの要因が地方法人税であることを勘案すると、
  新築住宅への固定資産税の軽減措置見直しや生産緑地への課税強化など、
  固定資産税(地方税)の課税ベース拡大による地方法人税率引き下げも必要だ。
 ・赤字法人のほか、宗教法人社会福祉法人への適切な課税が必要。
  宗教法人や社会法人は、税率の軽減、収益事業のみ課税、
  みなし寄付金制度(収益事業の一部が損金算入できる)の3点で税制優遇されている。

最後に、鈴木准教授の論考から。
 ・現在の日本の法人税では、正常利潤と超過利潤の区別はなく、
  法人利潤全体が課税される。
  しかし、法人税のうち企業の投資行動に影響を及ぼすのは
  正常利潤に対する課税部分だけであることに注意が必要である。
  投資は資本コストに依存する。
  正常利潤に対する課税は資本ストを上昇させ投資を抑制する。
  これに対して、超過利潤に対する課税は投資量に影響を及ぼさない。
 ・我々は、少子高齢化の下でも経済成長を実現できる生産性の向上が求められている。
  こうした目標を達成するためには、
  投資減税によって従来型の投資を量的に増やすのではなく、
  法人利潤全体に対する課税を軽減して、
  利潤性(生産性)の高い投資を国内に集中させる必要がある。
 ・平均実効税率(利潤全体に対する税率)引き下げの手段として、
  法定税率引き下げと課税ベース拡大の組み合わせは効果的である。
 ・法人税率引き下げによる減収を懸念する声もあるが、
  減収分は基本的に他の税目で賄う以外に方策はない。

こうして整理してみると、3人の先生とも、条件付きではあるけれども、
成長政策としての法人税減税の有効性を肯定されているようです。
なかでも、森信教授の「個人と企業は、同じ船に乗る利益共同体」
という言葉が印象に残っています。

私たち国民は、消費税増税で家計の負担が重くなるだけに、
減税による企業利益増加の恩恵が
多くの国民に幅広く及ぶことを期待したいと思います。