しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「定説」か「通説」か?

「俗説」とい言葉の語釈を「新解さん」(新明解国語辞典)で調べると、
次のように書かれていました。
『世間に広く行われているが、学問的には必ずしも信頼出来ない説。』

今月7日に、大和総研の熊谷亮丸・チーフエコノミストが、
『消費税増税を巡る「2つの俗説」』というコラムを、大和総研HPで公表されています。
このコラムを読む前に、「俗説」という言葉の意味をあらかじめ調べてみた次第です。

熊谷さんは、2つの「俗説」を次のとおり説明されています。
 第一の俗説は、「消費税増税が主因となって景気が腰折れした」というもの。
 第二の俗説は「消費税増税を行うと、結果的に税収が減少する」というもの。

そして、このような俗説に対して、次のように反論を述べられています。
まず、第一の俗説に対しては、
『1997年4月に、わが国では、
 橋本内閣の下で消費税率が3%から5%へと引き上げられた。
 結果的に、日本経済は消費税率引き上げ直後の1997年5月から景気後退局面入りした。
 わが国のマスコミや世論の間では、
 消費税率の引き上げを、景気後退の「主犯」と見る向きが少なくない。
しかしながら、前回増税時に日本経済が腰折れした主因は、
 わが国の金融危機(いわゆる「山一・拓銀ショック」)とアジア通貨危機の2点である。』

次に、第二の俗説に対しては、
『確かに、表面上の数字を見ると、わが国の税収は、1997年度の53.9兆円から、
 リーマン・ショック直前の2007年度の時点で51.0兆円まで減少している。
 しかし、この間、いわゆる「小渕減税」や地方への税源移譲などの制度改正の影響で、
 わが国の税収が8.3兆円減少した事実を見逃してはならない。
 制度改正の影響を除けば、2007年度の税収は
 実質的に59.3兆円まで増加していた計算になるのだ。』

そのうえで、熊谷さんは、
『2015年10月に消費税率を8%から10%に引き上げるか否かを巡り、
 2014年後半には政策論争が激化することが予想される。
 我々は情緒的な俗説に惑わされることなく、
 消費税増税の是非に関して冷静な判断を下す必要があるだろう。』と述べられています。

消費税について、大変勉強になるコラムでした。
ところで、「俗説」の反対語は、「定説」なのか「通説」なのか?
最近、このような疑問が生じることが多くなりました。
そのたびに、「新解さん」のお世話になっています。