しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

金融政策のかじ取り

今月23日と24日の二日間、
日経新聞「経済教室」では、『FRB新議長の課題㊤・㊦』が掲載されました。
23日の㊤は、加藤出・東短リサーチ社長チーフコンサルタント
『「超緩和」の出口、困難な道』、
24日の㊦は、櫻川昌哉・慶大教授の『バブル再発の懸念高まる』でした。

それぞれの論考で勉強になった個所があります。
まず、加藤社長の論考では、
「言葉の経済」や「マネタリーシャーマン」という言葉を初めて目にしました。
その部分を引用させていただくと、次のような記述でした。

FRBなど近年の中央銀行は大規模資産購入策に加え、
 市場とのコミュニケーション政策も重視している。
 ニューヨーク州立大学のダグラス・ホームズ教授は、
 市場や公衆の予想に働きかけることが近年の中央銀行の重要な仕事になっている傾向を
 「言葉の経済」と名付けた。
 それに共感した英フィナンシャル・タイムズ紙の記者は、
 バーナンキ議長をはじめとする現代の中央銀行総裁を「マネタリーシャーマン」と呼んだ。
 シャーマンとは超自然的な存在と交信して人々に「お告げ」をする
 呪術師、巫女(みこ)である。』

加藤社長によると、「言葉の経済」の傾向が強まった理由のひとつには、
中央銀行が直接コントロールできないシャドーバンキング(影の銀行)が
先進国でも拡大し、その資金の流れを誘導する必要が生じたためと説明されています。

次に、櫻川教授の論考では、
金融政策の正常化へのスピードは、
本来、インフレ懸念の観点から議論されるべきであるけれども、
今回のFRBの「量的緩和からの出口戦略」が、
インフレよりもむしろバブル再発の観点から議論されていることは
重要な論点だと述べられており、
この背景には、景気回復が即、資産価格バブルに結び付きやすくなっているという
経済構造の変質があると指摘されています。

出口政策への市場の期待は長期金利の上昇を招きつつあり、
一方で、市場への大量の流動性の供給は、
景気回復を待たずして資産市場の過熱をも引き起こしているとして、
再び米国はバブルの震源地になるかもしれないと櫻川教授は懸念を示されています。

二つの論考を読んで、金融政策のかじ取りの難しさが、なんとか理解できました。
でも、現代の中央銀行総裁が「マネタリーシャーマン」だとしたら、
わたしたち日本人は、黒田日銀総裁に、
アベノミクス」という「お告げ」を授かっているということなのかな…?
「言葉」だけだと、ちょっと危なかしいような気がしてきました。