しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

再生へのシナリオ

『「日本経済」はどこへ行くのか1〜危機の20年』
と『「日本経済」はどこへ行くのか2〜再生へのシナリオ』
(小島明著・平凡社)の2冊を読了しました。

『金融政策入門』(岩波新書)の著者、湯本雅士さんが、
同書の「主要参考文献」の中で、本書を次のように紹介されていていました。
この絶妙の紹介文に誘われて、購入した次第です。

『第5章では、日本の政治・経済・社会構造の
 抜本的な改革の必要性について述べていますが、
 紙数の関係でその詳細を論ずるには至りませんでした。
 これを埋める好著として次の一冊を挙げておきます。
 著者は高名なジャーナリストで、
 練達の筆を駆使してこのテーマに取り組んでいます。
 大部の書物ですが、日常に密着した、
 具体例に即した記述であるため非常に読みやすく、
 随所にキラリと光る叙述があります。』

はぃ、お見事な書評で、確かにおっしゃるとおりの好著でした。
これ以上、何もコメントするものがありません……。
ただ、湯本さんが述べられている「随所にキラリと光る叙述」が、
具体的にどの箇所を指すのか、是非お聞きしたいものです。

私はどうかというと、
ドラッガーの日本診断」の項の、次の記述が特に印象に残っています。

『危機感・危機意識と悲観主義は対極にあります。
 前者は危機の現状を克服する、
 それから何としても抜け出そうとする決意と行動をもたらすものです。
 後者は、言ってみれば敗北主義です。
 世の中が変わってしまったのだからどうしようもない、
 でもこうなったのは自分のせいでもないといった、
 やるべきことをやらない口実を生みます。あるいは先送り、不作為をもたらします。
 その意味で、危機意識と悲観主義は対極の関係にあると思うわけです。』

著者ご自身も、「はじめに」で、
本書のポイントは脱・悲観主義、危機意識、
多面的なイノベーション、意志と決断である、と述べられているように、
本の中では何度も、「危機意識」と「悲観主義」というキーワードが登場します。

そして、この本の魅力は、
なんといっても図表、資料、参考文献といったデータの豊富さと、
具体的で分かりやすい文章です。

日本の「再生へのシナリオ」は、きっと私たちは実現できるだろう、
そんな確かな希望が持てる本です。

「日本経済」はどこへ行くのか 1: 危機の二〇年

「日本経済」はどこへ行くのか 1: 危機の二〇年

「日本経済」はどこへ行くのか 2: 再生へのシナリオ

「日本経済」はどこへ行くのか 2: 再生へのシナリオ