NHKテレビテキスト『100分de名著』の3月号『孫子』を読了しました。
テレビ放映と合わせてテキストを読むと、一段と理解が深まります。
さて、「孫子」の軍事思想の骨子は、
「戦わずして勝つ」と「勝算なきは戦わず」、この二つだと私は理解しています。
今の世の中でも十分通用する「思想」や「哲学」が書かれている「孫子」が、
なぜ二千五百年もの時を超え、世界中で読まれているのか?
テキストの著者、湯浅邦弘・大阪大学大学院教授は、次のように解説されています。
・「孫子」は極めて高い合理性を備えている。
勝利のために神頼みをしたり、気力で乗り越えることを説いたり、
個人の突出した武勇に頼るといったことは一切退けている。
・同時に、「孫子」は具体論をほとんど説いていない。
人物の固有名詞もほとんど出てこないし、
歴史上実際に行われた戦争を引き合いに作戦を解説することもしていない。
・孫武(孫子の著者)自らの戦争体験から学んだことを事実に即して書くのではなく、
高度に抽象的な理論に昇華させ、思想としてまとめあげている。
・そこに、一つの自由が生まれる。
「孫子」に書かれた思想を、さまざまな時代のさまざまな読者が、
自分の立場や日常に引き付けて咀嚼できるという自由である。
・これが、「孫子」が時代を超えて読まれ、
さらには組織論や経営論、個人の処世術といった形でも
多くの読者を獲得している、一つの大きな理由だと思われる。
なるほど…。よく分かりました。
ところで、最近、ウクライナ情勢が緊迫しています。
世界の国々、そして日本は、果たしてどのような方向に向かうべきなのか?
「戦わない兵法」を説いた、孫武のアドバイスを聞いてみたいものです。
- 作者: 湯浅邦弘
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2014/02/25
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