しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

貴重な情報源

庁舎には半旗を掲げ、午後2時46分には黙祷を捧げました。
東日本大震災から今日で3年です。

私は、被災地をこの目で直接見たことはありませんが、
これまでの報道等を見て、聞いて、そして感じたことは、
将来、震災の年に生まれた孫娘に必ず伝え聞かせたいと思っています。

さて、参議院調査室が刊行している「立法と調査」の最新号に、
『デフレ脱却と財政再建の実現に向けて』というレポートが掲載されています。

このレポートでは、
参議院の調査会に、参考人として招致された青木泰樹・帝京大学短期大学教授が、
デフレの要因について意見陳述された概要が紹介されています。
デフレの要因に関する三つの見解が、
次のように簡潔明瞭に整理されていて、大変勉強になりました。

・今経済学の主流派である新古典派経済学は、いわゆる貨幣数量説的見解に立脚している。
 物価水準は貨幣量の変動によって決まる。
 新古典派の場合は、貨幣的減少、貨幣的要因と実物的要因、実体経済
 全く無関係という貨幣の中立性という観点から考えているので、
 デフレであろうとインフレであろうと実体経済には全く問題がないと考えている。

・それに対して、ケインズ派ケインズ経済学は、
 財市場における総需要不足でデフレが生じる、すなわちデフレ=不況という考え方である。
 なぜ総需要不足が生ずるかは、名目賃金の停滞が原因である。
 実体経済貨幣経済共に相互連関関係、相互依存関係があるので、
 デフレは実体経済に悪影響を及ぼすのは当たり前と考えている。

・その中間にリフレ派という考え方がある。
 リフレ派は新古典派的な貨幣数量説に立脚し、デフレの原因をマネー不足と考えているが、
 同時にデフレは実体経済に悪影響を及ぼすということなので、極めて論理的には矛盾している。

その上で、青木教授は、デフレ不況期は、
民間経済に悪影響を及ぼすことなく国債残高を解消することができるし、
国債を財源とする財政出動により遊休化している労働、諸資源を雇用すれば
景気浮揚の契機となるので、財政再建と景気浮揚の絶好機であると述べられています。

レポートでも触れられていますが、
デフレ脱却・景気回復によって、日本経済が立ち直り、
それが財政の健全化、財政再建につながることを期待したいと思います。

ところで、参議院調査室によると、
この「立法と調査」は、創刊50年の節目を迎えるそうです。
主要な政策課題や予算・税制等の解説、
国会提出法律案や国会論議の紹介について特集が組まれているほか、
国会ならではの情報や資料を駆使した調査・研究の報告・論文が掲載されています。

また、このほかに『経済のプリズム』も刊行されていて、
こちらは、景気動向、金融、財政を始め、幅広い経済関係の情報が掲載されています。

今、日本ではどんなことが政策課題となっているのか、
国会では今どんな議論がなされているのか等を知るうえで、
両誌とも、とても貴重な文献だと思います。(もちろん仕事でも大変役に立っています。)
そして、レポートに随時掲載される「参考文献」は、
次に読む図書を選定するうえで、私にとっての貴重な情報源です。

参議院HPで公開されていますので、是非一読をお薦めします。