しんちゃんの老いじたく日記

昭和30年生まれ。愛媛県伊予郡松前町出身の元地方公務員です。

「赤字化」で困ること

「経常収支の赤字化」については、今月15日のこの日記で、
日経新聞「大機小機」に掲載されたコラムを紹介したところですが、
今日27日の日経新聞「大機小機」にも、
『経常赤字で困ることは…』というコラムが掲載されていました。

コラムの次の文章を読むと、どうやら、日経新聞の経済コラムニストは、
「経常収支の赤字化」を問題視することが、お気に召さないようです。

『経常赤字を問題視する多くの議論は、
 当然のように「経常収支は黒字が望ましい」「赤字は困ったことだ」
 というのを前提にしているようだが、これは必ずしも正しくない。
 理由を述べよと言われると困るが、
 逆に「経常収支が赤字化すると何が困るのか」と問われるともっと困るはずだ。』

なんだか、「それがどうした!」と居直っているような感じもします。
でも、次のような、いくつかの「考え」や「声」に対する解説(反論)を読むと、
「なるほどそういうものか」と納得することができます。

 ① 経常収支の赤字化は国力の衰えを示しているという考え
  → これまでの「失われた20年」の間、日本の経常収支は黒字を続けてきた。
   逆に米国は一貫して赤字だ。経常収支が国力を表しているわけではないことが分かる。
 
 ② 財政のファイナンスが困難になるとの考え
  → 確かに経常収支の赤字化は国内の資金余剰が資金不足に転じることを意味するから、
   国債のファイナンスが海外資金頼みになる可能性はある。
    しかし、だからといって
   財政が困らないように経常収支の黒字を維持しようとするのは、本末転倒。
   財政再建を軌道に乗せ、海外の投資家が安心して日本国債を買ってくれる状態にするのが
   正しい政策的姿勢である。

 ③ 製造業の空洞化を示す点で心配だという声 
  → 生産拠点を海外に移す動きは続いてきており、
   グローバル化が進む中で日本企業が生産拠点の最適化を目指す動きを
   止めることはできない。無理に止めれば日本企業の活力は損なわれてしまう。
   出ていく企業を嘆くよりも、新しい企業活動の場を国内に生み出すほうが重要だ。

ここまでは、大変よく分かりました。
しかし、この後に続く、
「経常収支をどうするかということは経済政策の目標ではない。」とか
「経常収支が赤字化することこそが国民の福祉を最大化する道だ。」という文章を読むと、
なんとなく不安になってきます。

だって、家計をはじめとして、
「赤字」より「黒字」の方が健全な状態だという意識が、
人生経験を積む中で、身体中に沁み込んでいるものですから…。

ところで、明日は職場の送別会です。この日記もお休みします。