昨日のこの日記で、「日本銀行」(ちくま新書)の読書感想文を書きました。
その日銀が異次元緩和(量的・質的金融緩和)を決めてから、4月4日で1年が経ちます。
そのこともあってか、
昨日30日の日経新聞「日曜に考える〜創論」は、『異次元緩和1年、評価は』でした。
「インフレ予想を高めた」と主張される本田悦朗・内閣官房参与と
「心理効果にとどまる」と主張される池尾和人・慶応大教授の、
お二人の異なった見解の読み比べができて、とても勉強になりました。
記事はQ&A方式で展開されていきますが、
お二人の答えの中でも、特に印象に残った答えを、それぞれビックアップすると…。
まず、本田参与から
Q 金融政策は財政を助けるために実態よりも金利を低く抑える
「金融抑圧」になっているとの指摘もあります。
A 緩和で名目金利は抑え込まれているが、
だからこそ実質金利がマイナスになり、デフレ脱却につながる。
それも永遠には続かない。インフレ率が目標の2%に達すれば、
たとえば半年から1年ほど安定するかをみたうえで少しずつ緩和の縮小が始まるだろう。
実質の長期金利を1%台とすると名目金利は3%台に上昇する可能性があるが、
名目成長率がやや上回り、必ず税収が上がってくる。デフレでは財政再建などできない。
財政規律を考えるからこそ、デフレ脱却が最優先なのだ。
次に、池尾教授から
Q まずデフレから抜け出さないと財政再建どころではないとの声もあります。
A 経済成長が問題を軽くすることは事実だが、
インフレで名目成長率を高めても財政収支は悪化こそすれ改善することはない。
歳出は増えるし金利負担も膨らむ。
税財政や社会保障の仕組みを変える努力をしないと進まない。
過去、物価下落とともに実質賃金も下がり、デフレは良くないという議論になった。
ただ物価が上がりさえすればいいわけではなく、
企業の国際競争力の回復や労働生産性の向上がないと実質賃金の持続的な上昇は難しい。
漢方療法のような気の長い話だが、労働市場や企業制度の改革が欠かせない。
時間のかかる話を嫌い、即効性を期待して金融政策や財政政策に頼り続けているようにも映る。
う〜ん、お二人の見解は、どちらも正しいように私には思われます。
一方で、日本経済新聞電子版の読者に、
日銀による異次元緩和をどう評価するか尋ねたところ、
「高く評価する」「それなりに評価する」と答えた人が合わせて78%に達したそうです。
たとえ、心理効果だったとしても、国民を前向きな気持ちにさせたのは、
アベノミクスの成果であり、そのことは、やはり正当に評価すべきだと思いました。
後は、痛みを伴う改革に、国民が耐えられるかどうか…ですね。
さて、明日は4月1日。新しい職場の歓迎会です。
そのため、この日記もお休みします。