『サバイバル宗教論』(佐藤優著:文春新書)を読了しました。
連続講義録という形式なのに、ちょっと私には難解な本でした。
それでも以下のように、所々、印象に残る箇所がありました。
・布教によって受け入れるのではなく、
その宗教を信仰している人の姿を見てそれが伝染していくというのが、
宗教の伝達の本来のあり方ではないか。
・終わりのときというのは歴史の終焉であり、
人類の目的であると同時に完成であると考えるのがユダヤ・キリストの世界観。
・宗教にとって一番重要なのは葬式に携わること。
葬式をする宗教というのは最も強い。
・宗教というのは何のためにあるのか。
さまざまな宗教があるが、基本的には人間の救済ということのためにある。
・フロマートカという人は、
「フィールドはこの世界である。信仰を持つ者は常に前を見る」
という言葉をよく口にしたが、二つの選択肢があったときに、
客観的に考えて、より難しいほうを選択したほうが、
キリスト教的な倫理としては正しいんだということを言った。
・国家の上からの「きずな」、
ばらばらの人間をあるときにまとめるという「きずな」は、
内側にいる人間にとってはいいが、反動的に外側を必ずつくり出す。
非国民をつくる。
・アメリカでも、日本でも、ロシアでも、
知らず知らずのうちに国家、官僚が中心となって、
ばらばらになった国民を束ねて強化していこうという発想が出てくる。
確かに、それによって今の社会の矛盾の一部を解決することはできるかもしれない。
しかし、一方で必ず非国民を生み出し、官僚支配になる。
そして官僚は、社会から収奪することによって存在している以上、
そういう発想から抜け出すことができず、管理命令型の社会になっていく。
・自由主義とファシズムは衝突するが、
ファシズムと民主主義原理は、相性のいいところがある。
著者は、「はじめに」で、
『宗教から危機に強い人間になる技法を体得するために本書は有益である。』
と述べられています。
宗教の本質が、「人間を救済する」ことにあるとしたら、
私には信仰心が足りないのか、
まだまだ人間として危機的状況に陥っていないのか、
そのどちらかだと思います。
- 作者: 佐藤優
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/02/20
- メディア: 新書
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