景気回復途上の米国で話題となっている「長期停滞論」について、
その代表的論者であるサマーズ・ハーバード大学教授の主張を、
今月25日付けの「溜池通信」で「かんべえ」さんが、
次のように簡潔に要約されていて、大変参考になりました。
・リーマンショック後の米国経済の低成長は、需要不足が顕在化したから。
そしてリーマンショック以前のバブル期においても、超過需要は発生しなかった。
・その原因としては、「生産性の鈍化」「格差の拡大(富裕層は消費性向が低い)」
「金融危機後のリスク回避傾向」「技術革新」などが考えられる。
・そこで考えられるのは、①サプライサイド政策(構造改革)、
②金融緩和、③需要創造政策の3点である。
①は時間がかかるし、②はバブルの危険がある。
長期停滞を回避するには③が必要だ。
・大規模な雇用の創造が喫緊の課題である。
かつてのグラッドストーンやビスマルクのように、
政府の役割の大変化が必要である。
私なんぞは、これを読むと、
「なるほど、そういうものなのか…。」と感心しきりなのですが、
「かんべえ」さんは、
『かかるケインジアン的な発想は、筆者にはまるで
「修学旅行が大勢来てくれた時代を懐かしがっている旅館の繰り言」
のように思えてしまう。』と喝破されています。
なお、「長期停滞論」に関しては、
今月27日の日経新聞「経済論壇から」において、
土居丈朗・慶大教授が、『長期停滞論と日本』と題する論評を掲載されていました。
日経新聞「経済教室」に掲載された論考の要点を、
分かりやすく紹介されていて、これまた大変参考になりました。
先ほどの「溜池通信」で「かんべえ」さんは、
『必要性ではなく、「遊び心」を主な需要とする経済を読み解くには、
いわば「遊民経済学」的な発想が必要になるだろう。』と指摘されています。
「かんべえ」さんが述べられているように、
日々の生活の糧を追い求める時代につくられた経済学は、
もはや通用しないような時代になっているのかもしれません。
ちなみに、我が家は日々、家計のやり繰りで精一杯です。(トホホ…)