本棚にほぼ新品の状態で眠っていたのを偶然発見しました。
私はこの本を読んだ記憶がなかったので、
おそらく娘が高校生の頃、買ったものだと思います。
ご案内のとおり、志賀直哉は「白樺派」を代表する作家ですが、
これまた娘が、我が家に残していった「日本文学史」には、
『行き詰った自然主義に積極的に反発し、
自然主義が確立しようとして逆に踏みにじった自我を拡充し
個人尊重・人道主義・理想主義の方向に向かったもの』という白樺派の説明と、
『直哉自身の内面的な発展を主人公時任謙作に託した
自伝的要素の強い作品である。
鋭敏な感性と対象把握の的確さと腰の据わった写実的態度で
その後の文学者の指標となった。』という作品の説明がありました。
なお、著者は本の「あとがき」で、
『主題は女の一寸した過失が、〜自身もその為苦しむかもしれないが、〜
それ以上に案外他人を苦しめる場合があるという事を採りあげて書いた。』
と述べるとともに、
『「暗夜行路」は外的な事件の発展よりも、
事件によって主人公の気持ちが動く、その気持の発展を書いた。』
と述べています。
なるほど……。自己の内面的な発展ですか…。
人は、自身や他者の過ちを、
いつ、どのようにしたら、すべて許す心境に到達ることができるのか…?
そんなことを読みながら考えましたが、
たまには日本文学の代表的作品に触れるのも良いものですね…。
でも、この本を自分が高校生の頃に読んだとしたら、
どんな読後感を持ったのかなぁ…。
おそらく退屈で、途中で読むのを諦めたかもしれません。
(娘もほとんど読んでないと思います。)
- 作者: 志賀直哉
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1990/03/19
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 56回
- この商品を含むブログ (47件) を見る