日経新聞電子版に掲載された滝田洋一編集委員の
『未年の世界経済は「黒い羊」にご用心』という記事を興味深く読みました。
記事によると、国際協力銀行の渡辺博史総裁(元財務官)は、
新年の干支(えと)にちなんで、キーワードの頭文字をつなぎ、
世界経済の問題点を指摘するのを年末の挨拶代わりにされているそうです。
来年は未(ひつじ)年。
「羊(Sheep)」の何に気を付けたらよいかについて、次のように書かれていました。
S:Slower Increase of Wages(賃金の伸び悩み)
H:Harsher Geopolitical Confrontation(深刻化する地政学的対立)
E:Euro-Zone Doldrums(ユーロ圏の停滞)
E:Exit or not of Central Banks’ Policy(中央銀行の政策が出口か否か)
P:Price-down of Oil and Gas(石油・ガスの相場下落)
う〜ん、すごいな…。
よくもまぁ、こんなことが考えられるものだと感心します。
よほどの「知識」と「教養」と「語学力」がないと思いつけないですよね…。
5つの問題点のなかでも特筆すべきは、「石油・ガスの相場下落」です。
記事では、「逆オイルショック」という聞き慣れない言葉の解説がありました。
『さらに、逆オイルショックという問題がある。
石油・ガスをはじめ国際商品相場はつるべ落としだ。
米国のシェール革命が原油の供給制約を取り払った。
サウジアラビアは減産を拒むことで、新たな均衡価格を探ろうとしている。
原油安は生産コストの高いロシア、イラン、ベネズエラといった産油国を直撃する。
これらの国々は米国と敵対しているだけに、
逆オイルショックは地政学の要素も帯びる。』
そして、記事に最後には、
「ブラック・スワン」と「ブラック・シープ」という言葉も登場します。
『資源輸入国である日本にとって、
国際商品相場の下落は総じてみれば天佑(てんゆう)である。
が、何事によらず油断は禁物。
未年はブラック・スワン(予想外の出来事)を引き起こしかねない、
ブラック・シープ(黒い羊=厄介者)の動向に注意を怠れない。』
なるほど…。
ブラック・スワンは「予想外の出来事」、
ブラック・シープは「厄介者」を意味するのですね…。
いろいろと勉強になった記事でした。