なんとか今年中に、大佛次郎賞受賞作の
『クアトロ・ラガッツィ(上)(下)〜天正少年使節と世界帝国』(若菜みどり著:集英社文庫)を
読み終えることができました。
出口治明・ライフネット生命保険会長が推薦する本で、
帯紙には次のように書かれていたので、悩むことなく購入しました。
『日本がグローバリゼーションに対峙した時代に
僕たちの先達がいかに振る舞ったか、心して読んでほしい。』
はぃ、心して読んだつもりです。それにしても読破に時間がかかりました。
さて、この本の概略はエピローグの次の箇所で述べられていると思います。
『少年たちが日本に帰ってきたときに、
時代は戦国時代から統一的な国家権力のもとに集約され、
他の文明や宗教を排除する鎖国体制に向かっていた。
そのために彼らの運命はこの大きな時代の流れのなかで悲劇的なものとなった。
ある人びとは彼らの事業は無益だったという。
しかし、四人の悲劇はすなわち日本の悲劇であった。
日本は世界に背を向けて国を閉鎖し、個人の尊厳と思想の自由、
そして信条の自由を戦いとった西欧近代世界に致命的な遅れをとったからである。』
ここでいう四人の悲劇とは、
・中浦ジュリアン 潜伏後、殉教
・伊東マンショ 小倉追放後、病死
・原マルティーノ マカオに亡命
・千々石ミゲル 棄教
とりわけ、ジュリアンへの拷問の記述は、読むに堪え難いものがありました。
読みながら、信仰の力強さと厳粛さを思い知った次第です。
また、感銘を受けた記述が多いなかで、最も心に刻まれたのは次の一節でした。
『人間の価値は社会において歴史において名前を残す
「傑出した」人間になることではない。
それぞれが自己の信念に生きることである。』
一年を締めくくるのにふさわしい本でした。
来年も多くの良書と出合いたいものです。
クアトロ・ラガッツィ (上) 天正少年使節と世界帝国 (集英社文庫)
- 作者: 若桑みどり
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/03/19
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クアトロ・ラガッツィ 下―天正少年使節と世界帝国 (2) (集英社文庫 わ 13-2)
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