『重要性増す人文科学~社会を考え伝える力』というタイトルの論評を
投稿されていました。とても勉強になる論評でした。
この論評のなかで田中総長は、「実践知」というものを、
次のように紹介されています。
『実践知とは「善い」目的をつくる能力、場をタイムリーにつくる能力、
ありのままの現実を直観する能力、直観の本質を概念化する能力、
概念を実現する政治力、実践知を組織化する能力で構成されている。』
そして、この実践知には「リベラルアーツ」が欠かせないとして、
次のように述べられています。
『欧州で重要視されてきた哲学、文学、芸術、自然科学を学ぶなかでこそ、
総合的に「関係性を読み解く能力」を
身につけることができるからである。』
さらに、論評の最後には、
『これからの日本人が身につけるべきだと言われている思考力、
判断力、表現力、そして、極めて高いコミュニケーション能力とは、
実は実践知の要素なのである。』と実践知の重要性を述べられています。
日記の記述の順序が逆になりましたが、
田中総長がおっしゃりたかったのは、
「人文社会科学系学部の不要論」とも捉えかねない
今年6月の文部科学省通知に対しては、
「正しい認識と冷静な判断を持つことなのではないか」と思いました。
『大学の学部編成は変わってもよいかもしれないが、
実践知を見につけるための人文科学系の科目は、ますます重要になる。』
人文社会科学系学部に在籍する大学生の皆さん、
これからこれらの学部を志願する高校生の皆さんは、
田中総長のこの言葉に勇気をもらって、
正々堂々と自ら選んだ学問の道を極めていただきたいと思います。
だって、過去の歴史を振り返っても、
国家の命運に影響を与えた著名な思想家・啓蒙家の多くは、
人文社会科学系の人材だったはずですから…。