日経新聞電子版で連載されていた
小林喜光・三菱ケミカル会長の「経営者ブログ」は、今日が最終回でした。
小林会長は、三菱ケミカルという社業のほか、
同友会代表幹事や日本化学工業協会会長、
産業競争力懇談会理事長といった公職にも就かれていて、
ご本人はその忙しさを次のように述べられていました。
『朝は8時の会議に始まって、夜までみっちりスケジュールが詰まっている。
分刻みで動かないといけないので、トイレには走って行きますし、
エレベーターが来るのもイライラしながら待っている。』
「ワークアンドバランス」を提唱している経済同友会の代表幹事でありながら、
その「対極」にあるようなお仕事ぶりですが、
それが「ライフライフバランス」になっていると、
小林会長は次のように述べられています。
『つまり、私はワークライフバランスとは別世界の住人であると認めざるを得ません。
一方で、ここまでくると、
これもまたバランスなのではないかとの半ば開き直りの気持ちも出てきます。
仕事を引き受けすぎると、
ひとつひとつがおろそかになるのではないかと恐れていたのですが、
そんなことはなく、むしろ相乗効果で活性化するのです。
地方創生、社会保障と税の問題、観光、コーポレートガバナンス、
ROE経営、教育……。
バラバラだった知識と視点が重なり合って、まったく新しい発想が生まれてくる。
こうなると、仕事がどんどん楽しくなり、
肉体的なつらさも気にならなくなってくる。
ワークそのものがライフに昇華して、
「ライフライフバランス」が実現するという訳です。』
う~む、まいりました。
「仕事の相乗効果で活性化」し、「ワークそのものがライフに昇華する」というのは、
なかなかできるものではないと思いますし、
そもそも私には無理なような気がします。
そこで思い出したのは、一昨日のこの日記で引用したヒルティの、
「未来は働く人のものであり、社会の主人はいかなる時代にも常に勤労である」
という言葉です。
ひょっとして哲学者ヒルティは、小林会長のような人物を想定していたのでしょうか?
いや、そうではなく、「人類一般にとって真理」だとすれば、
私の今までの人生は、「仕事が足りなかった」か、
「真剣に仕事をしなかった」人生だったのではないか、と思ってしまいます。
残念ながら、気がついた時には定年退職です……。