『社会を変えるには』(小熊英二著:講談社現代新書)を読了しました。
新書版なのに、517ページもある大作で、読了するのに結構時間がかかりました。
「社会を変えるには」どうすればよいのか?
この本の最後に、その「答え」と思われる記述がありました。
『社会を変えるには、あなたが変わること。
あなたが変わるには、あなたが動くこと。
言い古された言葉のようですが、いまではそのことの意味が、
新しく活かしなおされる時代になってきつつあるのです。』
そして、「動く」ということについては、次のような記述がありました。
『冷たい壁にとりかこまれていて、声が出せないという人がいます。
それは逆だと思います。
声を出さないあなたは、他人から見れば壁の一部です。
あなたが声を出さない状態が、周りの人を壁にしています。
関係は作り作られます。関係は待っていても変わりません。
動かないと変わりません。
声を出せば、一時的に敵対関係になる人も出るかもしれませんが、
味方になる人も出るでしょう。』
この文章の中に出てくる「関係は作り作られる」という言葉は、
どうやら、イギリスの思想家、アンソニー・ギデンズの
「再帰性の増大」を意味しているものと思われます。
著者は、現代社会で増大しているのは、
自由の増大というよりも、「作り作られてくる」という度合いであり、
これをギデンズは「再帰性の増大」とよんだと解説されていました。
この部分は繰り返し読みましたが、私は未だに理解できていません…。
ところで、「動く」という言葉では、相田みつをさんの言葉が思い浮かびました。
『とにかく具体的に動いてごらん。
具体的に動けば具体的な答えが出るから』
う~む、それにしても、
社会を変えるには、自分自身が変わらなければならないとすると、
それはとても困難な作業を伴うことだと思いました。
結論としては、歴史や思想など多面的な記述と視点があって、
なかなか有意義で面白い本でした。